内容説明
人はなぜ怖いものに魅せられ、恐れるのだろうか。ホラー・マンガの第一人者として刺激的な表現と物語を生み、活躍を続ける著者が、自らの体験と方法を交え、この世界に潜み棲む「恐怖」に秘められた構造を初めて語った貴重な記録。「変身」「改造」「未知」「少年」「少女」「暴力」「笑い」「死」「学校」「老人」など楳図作品を読み解くキーワード満載、ファン必携の書。
目次
1 世界の恐怖
2 恐怖と未知―作品+ノート
3 恐怖との交信―楳図かずおとは誰か
4 恐怖の表現
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
77
「恐怖への招待」というタイトルだが内容は楳図かずお氏による恐怖の哲学といったほうがいいと思う。変身や改造の恐怖、自然に対する畏怖、幼少の頃の体験や聞かされた話の影響、夢や神、死に対する考えなどが綴られており単なるエッセイ集ではない。恐怖と笑いの共通点もなるほど頷いてしまう。子供の頃に貸本漫画で読んだ氏の作品はとても怖かったことを思い出した。この本を読んでその恐怖はきちんと計算されていたことにも気づいた。図書館本2017/03/23
Yu。
27
子供の頃って目をキラキラさせて“なんでそうなの?”って思うこと沢山あったよね。。。そんな繊細さや飽くなき探究心を持った幼少時代から大人になった今に至るまでそのピュアさは変わらない著者の “恐怖とは‥未知なる存在とは‥” をメインに置いた様々な“なんでそうなの?”が数々の楳図作品と共に語られる自叙伝風エッセイ。まったくもう柱一つにもドラマを見出す著者の想像力に敬礼!です。そういった彼の思いや考えを踏まえた上で収録されている漫画「Rôjin」を読んだなら尚一層感慨深い一冊になる。2016/08/20
更紗蝦
17
タイトルも表紙も怖そうなんですが、内容は心理学的・哲学的・科学的です。でも、決して難しい事は書かれていていません。作者が感じた事・経験した事が淡々と綴られています。恐怖漫画を描いているのに、心霊体験が全くないというのが意外でしたが、よく考えてみれば、確かに楳図かずおの漫画には霊的な要素は全くありませんでした。2012/12/01
hikarunoir
8
大美術展関連で再読。作者本人のみへの超聞き書き。出版時点(1988)の展望と共に、元来SFを恐怖の表層で覆っているとの自認を激白。膝を打つ。2022/03/13
chatnoir
5
恐怖にまつわるエッセイかと思ったんだけど、ご自身の作品の成り立ちに関するエッセイというか、説明だった。『漂流教室』はドラマで、『まことちゃん』を1度か2度、ちゃんと読んだのは『赤ん坊少女』位の私にはあまり面白くなかった。あのファッションやお家のデザインから、面白そうな人と思ってたけど、漫画の政策に関して、かなりまじめな感じを受けた。2015/08/16