内容説明
古事記・日本書紀が伝える日本の神話が私たちに語りかけるものは果して何か?イザナギ・イザナミの国生み、天の岩戸、ヤマタの大蛇、イナバの白兎、天孫降臨、海幸・山幸など、誰もが知っている神話を民俗学的・精神分析学的に捉えなおし、その奥底に秘められた日本人の大らかで豊饒な性意識を解き放った画期的な名著。戦後セクソロジーの先駆者として生涯を貫いた著者の文庫コレクション第1弾。
目次
はじめに なぜ、神話のベールを剥ぐか
1 オノゴロ島―はじめ女性が上だった
2 ヨミの国―屍姦の願望
3 アマテラスとスサノオ―姉弟婚とその破局
4 天の岩戸―女性器崇拝の心理
5 ヤマタの大蛇―古代の略奪・輪姦事件
6 イナバの白兎―古代の人口くらべ
7 オオクニヌシ―さまざまな結婚のしかた
8 天孫降臨―女が先頭に立った時代
9 コノハナサクヤ姫―日本人起源論を解くカギ
10 海幸・山幸―性のユートピアを求めて
むすびに―日本の神話の特徴
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
19
日本神話は単なる空想ではなく、実話の隠喩であるとの前提に立ち、いつものフロイト臭を極力抑えながら、多くの参考文献を用いて読み解く。そのほとんどが、性を表しているという推察は、おそらく正鵠を射ている。2022/09/11
半兵衛
6
何度も読む。バカバカしいと読むたび思うが何度も読む。「神話は民族の夢である」というフロイドの定説に乗っかり古事記をエロフィルターにかけて読み説くというもの。日本の神話は他のものと比べて大らかで明るいのでいじりやすいのかな。アメノウズメの服装に関する考察が唯一読みごたえがあった。筆者は「本格的なセクソロジスト」の一人らしい。なぜこんな本が真面目なじいちゃんの本棚にあったのか…。2014/10/17
なつき
3
『日本の神話 性のユートピアを求めて』読了。フロイト心理学の強い影響のもと、日本神話を性という観点で読みとく。色モノ的な本という勝手かつ失礼な先入観があったが、読んでみればかなり妥当性の高い解説で、自分自身の是非はともかくとしても納得。とくに出雲神話からの流れが大変面白かった。2017/04/26
あにこ
3
日本の神話ってほんと自由ではちゃめちゃで、面白いなぁと思わせられる。性風俗の一側面としての神話を読み解いているのだが、神話の有名どころがダイジェストでまとめられている観もあって普通にお勉強になった。これでもか!というぐらいエロ深読みを重ねんとする(中には眉唾ものもあるが…)作者のひたむきな姿勢には、いっそ清々しいものを感じる。こういう人ってやっぱり必要かなとは思う。2016/08/04
びせんて
1
艶史伝[大東閨語」2022/05/05