目次
第1部 謎としての生命―植物学論文集成(フィラデルフィアの顕微鏡;粘菌、動植物いずれともつかぬ奇態の生物;粘菌の神秘;粘菌の形態学;粘菌の複合;フィサルム・ギロスムの色彩;ハドリアヌスタケ;酒泉等の話;オニゲナ菌;へろへろほうきたけ、冬虫夏草;姫蕈、臍蕈、ヘンニングシア;生肉蕈 山人外伝資料;山婆の髪の毛;山神の小便;カウルとヒョウタケ;情事を好く植物)
第2部 森と政治(菌類学より見たる田辺及台場公園保存論;南方二書〈松村任三宛書簡〉;神社合祀に関する意見〈白井光太郎宛書簡〉)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
49
植物とも動物ともいえない粘菌に憑かれた男、南方熊楠。彼が顕微鏡を通して見たのは生とも死ともいえない境界のない世界。深い森に立って見たのも曖昧で境界のない世界であり、自分自身を創りだす生命の根源、オートポイエーシスだった。これはプラトンが『パイドロス』で述べた魂の概念と一致する。そして熊楠は民族学や神話や古事記から、日本人と生命のルーツに辿りつく。海を越えてきた倭人は山林に入り狩猟生活をはじめる。その後、人々は定住と農耕の術を見出す。海にも山林にも平野にも倭人は神をみた。そしてその神々を敬い守ってきたのが、2019/11/10
∃.狂茶党
7
竹田宮に送ったものを枯らされたみたいな記述が。 東京オリンピック招致での不正に関与したとされ逃げ隠れ中の人のご先祖。 塩が祓いである理由のようなもの記述から、ネアンデルタールとの交雑の記憶などと妄想したり。 山の人は食文化の違いから塩を特に用いてこなかった。 戦った熊楠。 大日本帝国政治家承認役人と、ゲスな神職どもの行った、醜業は、今の政権よりも、維新や、維新に似た地方の首長たちによく似てる。 教養がないのか文化がないのか、この手の人たち。 ”狼に冕冠せしめたるに過ぎざるにおいておや” 2022/06/09
貴人
0
熊楠の粘菌愛と、自然保護の戦いを取り扱った本。粘菌学の隆盛は、まさに熊楠が渡英した時期が勃興期であり、その新世界を開拓するのに人々が熱狂していた。そんな時に熊楠は一人新種発見の熱狂に乗らず、境界線上の生物である粘菌の特質に注目し続ける。さらに自然保護活動も彼の真骨頂といえる活動となる。単に自然が大事だどという感傷主義ではなく、環境と人間の結びつきの重要さ、文化、宗教、民俗との密接に関係にまで至った、目から鱗な一冊、おススメです。2014/10/13
広中錫
0
+8 もう少し粘菌の話が読みたかった。神社合祀批判はこのシリーズで食傷気味やったのに・・・。2014/04/25
KOBAN
0
無駄も時には必要ということ。2012/07/09