内容説明
偉大な芸術の数々を生んだ近代の黎明期ルネッサンス。その背景となった社会に生きた人々の、生活、精神風土はどのようなものであったのだろうか。フィレンツェを支配したメディチ家の銀行の実態、当時の戦争のやり方や流行病の影響など、さまざまな話題をめぐり、最新の学問的成果を随所におりこみながら、探索の足をのばした興趣つきないエッセイ集。名著『ルネッサンスの光と闇』の姉妹篇。
目次
1 メディチ家の金脈と人脈
2 1市民の日記
3 フランス病かナポリ病か
4 マルスの休息
5 傭兵隊から常備軍へ
6 学者たちの世界
7 占星術
8 人相学―四性論と動物類推
9 ルネッサンスの女たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュンジュン
5
高名な美術史家によるルネサンスよもやまばなし。メディチ家の資産状況と傭兵隊の実態を伝えた二話が面白かった。2020/08/01
韓信
1
フィレンツェを中心としたルネッサンス期イタリアの社会・経済・精神生活を考究する歴史エッセイ。メディチ家の銀行業の実態と具体的な納税額の算出方法、一薬種商の日記からうかがえる当時の人々のサヴォナローラの熱狂への冷静な距離の置き方やドライな現実感覚、人文学者が元首となりうるフィレンツェの民主性とその限界、占星術や人相学の具体例、家庭内の女性や娼婦の実態等々、話題は多岐にわたるが、個人的にはシャルル8世のイタリア遠征を契機に傭兵隊同士の軍事パレードから常備軍による殲滅戦へと変遷するイタリアの戦争事情が面白かった2020/02/13
みずえ
1
再読。今Bunkamuraでやってるボッティチェリ展のホームページで、必読書として紹介されていたので、本棚から引っ張り出してきました。何もかもが懐かしい……。2015/05/30
るね
0
高階先生のルネサンス本だから美術の話だろうと思ってたそういうわけではなかったが、ルネサンスイタリアを生きた人々の解像度が上がってよかった。占星術と人相学の話が好き。2023/01/29