内容説明
だまし絵は、人間の眼の能力とふかい関わりをもっている。透視図法などを駆使してリアルに描けば、人間の眼はそこから容易に現実の三次元の世界を読みとる。だましが巧みであればあるほど、人間の眼の潜在的能力をひき出すことができるのだ。
目次
視覚のトリック―種村季弘(唯一ツノ世界ニテハ足ラズ;逆転の構図;空間を変える瞞し絵;遠近法函という覗きからくり;円筒アナモルフォーズの魔術)
アイ・トリック事典―高柳篤(選ばれた眼のみに見えるアナモルフォーズ;プリミティブなアナモルフォーズ作画法;アナモルフォーズは裏返しの遠近法;眼の「見ようとする」力が遠近法を成立させた;錯視することができる人間の眼;エッシャーの「滝」実はペンローズの三角形;無意味な図形から意味を見つけるロールシャハ・テスト;眼の先入観を実証するフィッシャーの「男と少女」;「だまし絵」や「隠し絵」は眼の能力への挑戦;科学と美術の結合が眼のメンタリティーをゆさぶる ほか)