内容説明
高校教師をしていたジル・ドゥルーズが教科書として編んだ、マリノフスキーから、ベルクソン、マルクスにいたる全六六篇のアンソロジー『本能と制度』と、出発点に位置する二一歳のときの小論文「キリストからブルジョワジーへ」。これら幻の名著を詳細な訳注によって解説し、潜在性、差異、多様体、力といった、ドゥルーズ哲学の原点を明らかにする。
目次
キリストからブルジョワジーへ
本能と制度(制度 傾向性を満足させるための間接的・社会的な手段の体系;本能 傾向性を満足させるための直接的で種に特有な手段の体系;本能と制度との独創性;状況と適応;技術、芸術、遊戯;本能と知性;人間と動物)
著者等紹介
ドゥルーズ,ジル[ドゥルーズ,ジル] [Deleuze,Gilles]
1925‐1995。哲学者
加賀野井秀一[カガノイシュウイチ]
1950年、高知市生まれ。中央大学名誉教授。専攻は、仏文学、現代思想、言語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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uchiyama
1
アンソロジーの方は、虫虫ワールド。心理学者マチルド・エルツ(嬢!)の本からの抜粋、「信号の偶発的な現れにのみ反応するような生物は、ほとんどいつでも、半ば死んだようなものである。だが、さまざまな様相の蓄積や導きのなかにあるコントラストや変化に反応する生物は、その知覚のなかに絶えまなく身をさらし、いかなる瞬間にも多忙で、生き生きとしているのだ。」こんな風に、生き生きとした虫のように、映画を観たり本を読んだりしたいものです。訳注者あとがきの、(それこそクモか?の)糸に導かれたみたいな発掘経緯も面白かった。2025/03/29
遊動する旧石器人
1
2025年2月20日新装版初版発行。ジル・ドゥルーズの処女作「キリストからブルジョワジーへ」と編まれた「本能と制度」とそれらに関する加賀野井秀一氏の序文からなる1冊。再読して理解を深めたいところだが、「キリストからブルジョワジーへ」を基に21世紀社会を鑑みると、明らかに私的内面の公的外面化が、特にSNSを媒体として、一気に進んだとみることが出来る。つまり、私人は公人と変わらなくなった。結局、プライベートの領域をSNSで晒すことは、キリスト教的なことの延長線にある。晒すことで赦されるとでも言い換えれる現在。2025/03/19
Go Extreme
1
キリスト教とブルジョワジー:信仰の外部性 社会構造との関係 自己認識の形成 所有権と利益権 人間主義の基盤 社会的対立 本能と制度:自己保存 繁殖 社会的行動 法と規範 文化的背景 行動の枠組み 制度の役割:行動の制約と促進 法的枠組み 社会的機関 組織のヒエラルキー 歴史的背景 文化の進化 哲学的考察:内面性と外面性の関係 知性と本能の対比 社会的規範の形成 制度と個人の相互作用 社会の歴史的変化 社会構造の理解:民主主義と専制主義 制度の正当性 変革の可能性 社会と個人の役割 欲求と社会の調整2025/03/06