内容説明
荒廃した火星に隠された伝説の青い壜(「青い壜」)、いじめっ子を殺しに故郷に帰った男の完璧な復讐(「非の打ち所ない殺人」)、すべてを与える代わりに結婚を望む魔女(「全量服用、群集の狂気を阻む薬」)…。恐怖の愉悦と幻想の遊戯に満ちた、めくるめく二十二篇。SFの詩人が贈る、とっておきの作品集。
著者等紹介
ブラッドベリ,レイ[ブラッドベリ,レイ] [Bradbury,Ray]
1920‐2012年。イリノイ州生まれ。宇宙時代の抒情詩人との異名を取る、アメリカ文学を代表する幻想作家。47年、初めての作品集『黒いカーニバル』を発表。50年に刊行した『火星年代記』は世界的な評価を受ける
小笠原豊樹[オガサワラトヨキ]
1932‐2014年。翻訳家。岩田宏の名で詩集『いやな唄』『頭脳の戦争』ほか著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
31
ブラッドベリ作品集。1冊がなかなかのボリュームで実に22篇のSFや幻想小説が詰まっています。著者の作風でSFや幻想ものはいくらか読んできましたが、本作収録の「ある恋の物語」という作品だけは異色の作風と思える純粋な恋物語のようでした。それも含めてこの作家の種々多様な物語世界が堪能できる1冊となっています。そしてやはりSF作家ブラッドベリと呼ぶよりも抒情詩人との呼び名の方が相応しく思えるこの抒情的な文章に浸ることができ、現実を忘れて愉悦の読書時間を愉しむことができた。2024/05/15
Kano Ts
11
今まで読んだブラッドベリの本の中で一番読みやすかった。自分にとってブラッドベリは「雰囲気が好きだけど、読みづらくてよく分からない。」という謎な立ち位置の作家だった。それは恐らく独特な文体のため自分の中で解釈するのに精一杯で入り込めない、と言うのが理由だと思う。今回は訳がハマったのか、短編のため短く強く集中できたのが良かったのか、独特の雰囲気を味わえる作品が多かった。それでもいくつかはダメだったが。SF作品だと思って読もうとするとダメなのかも。2024/06/24
ふりや
11
ナミサトリさんの装画に惹かれて購入した久し振りのブラッドベリ。自分の中ではSFや怪奇幻想のイメージが強かったブラッドベリですが、この短編集には実に様々なバリエーションの作品が収録されています。詩的だったり叙情的だったりする物語たち。それからゾッとするものやユーモラスなものまで。20〜30ページの短編を毎日少しずつ読むのがとても楽しかったです。印象に残ったのは、『親爺さんの知り合いの鸚鵡』『第五号ロボットGBS』『非の打ち所ない殺人』『罪なき罰』『ある恋の物語』『板チョコ一枚おみやげです!』など。2024/05/23
ハルト
10
読了:◎ 幻想的でありながら、どこか奇妙さも持ち合わせる。SFっぽさもとうぜんある。さまざまなテーマ、さまざまなジャンルが合わさった、二十二編の短編集。世界観もだけれど、心理面もしっかり書かれていて、その豊かな語らいが短編として以上の満足感を与えてくれる。やっばりブラッドベリはいいなあ。2024/05/31
スプリント
6
どの作品も一定の水準以上なのだが記憶に残る作品はなかった。おそらくレイ・ブラッドベリのSFを下敷きにした多くの作品に触れてしまったのでどことなく既視感があったせいだと思う。こちらが源流であることは理解しているのだが。2024/04/13