内容説明
地球は一万五〇〇〇年前に氷河期を終えて温暖化の時代を迎えた。人類はその“長い夏”に育まれながら、やがて古代文明を各地に誕生させる。しかし、文明はいずれも滅んでいった。気候学の最新成果を駆使し、洪水や旱魃などの自然災害がいかに人類を容赦なく襲ったかを鮮やかに再現してみせた「気候史」のベストセラー。
目次
もろくて弱い世界に足を踏み入れて
第1章 ポンプとベルトコンベヤー(氷河時代末期のオーケストラ 一万八〇〇〇年~一万五五〇〇年前;処女大陸 一万五〇〇〇年~一万三〇〇〇年前;大温暖化時代のヨーロッパ 一万五〇〇〇年~一万三〇〇〇年前 ほか)
第2部 何世紀もつづく夏(大洪水 紀元前一万年~前四〇〇〇年;干ばつと都市 紀元前六二〇〇年~前一九〇〇年;砂漠の賜物 紀元前六〇〇〇年~前三一〇〇年)
第3部 幸運と不運の境目(大気と海洋のあいだのダンス 紀元前二二〇〇年~前一二〇〇年;ケルト人とローマ人 紀元前一二〇〇年~前九〇〇年;大干ばつ 西暦一年~一二〇〇年 ほか)
エピローグ 西暦一二〇〇年~現代
著者等紹介
フェイガン,ブライアン[フェイガン,ブライアン] [Fagan,Brian]
イギリス生まれ。カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校の人類学名誉教授。考古学や気候関連の多くの著作がある
東郷えりか[トウゴウエリカ]
上智大学外国語学部フランス語学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じぇろポーta
3
小集団が移動を繰り返す狩猟採集生活から恒久的な定住地へ移っての共同体(人口)の拡大。それは安定的で予測しやすい食料の獲得を人々にもたらしたが、その集団としての大きさが干ばつなどの災害に対する脆弱性を生じさせたのが皮肉。遥か古代のファラオたちは文字通り「現人神」だったが、致命的な大飢饉の発生で文明が滅びかけた一件以降、絶大な権力を握っているがあくまで人であり地上の最高権力者という地位に落ち着いた話が歴史やなあ。2023/11/26
ももいろ☆モンゴリラン
1
※マチュピチュ出てきません ※カリアコ海盆は出てくるよ 「ポンプの役目」という説明が印象的で、今まで聞いたことなかったけどいい表現だと思った。歴史の端々で人を引き寄せ、かつ吐き出してきた場所のこと。そしてエル・ニーニョと火山噴火がこんっっなに世界に影響してたとは知らなかった〜〜!!!狩猟採集生活から農耕に切り替え、定住「してしまった」がゆえに孕む脆弱性。その警鐘は過去何度も押し寄せた大旱魃を通して現代の我々に宛てて鳴らされている。2023/02/20
Artyom2033
0
狩猟から農耕への移行は現代文明の基礎だと思うけど、移動を放棄した結果、生活が困窮すると隣から奪うという発想につながり、奪われないために要塞を築く。そのサイクルでさらに無駄なエネルギーが必要となる。農耕は戦争の始まりでもあった。そして生活の困窮の最大要因は常に気候が大きな要素を締めていたという話。★★★☆☆2023/12/26