出版社内容情報
高校時代に永遠の愛を誓った男女に、現実の壁が立ちはだかる。世界を魅了する作家による三大陸大河ロマン。全米批評家協会賞受賞。
内容説明
高校時代に永遠の愛を約束したイフェメルとオビンゼ。アメリカ留学を目指す二人の前に、現実の壁が立ちはだかる。オビンゼと離れてアメリカに渡ったイフェメルを待っていたのは、階級、イデオロギー、人種で色分けされた、想像すらしたことのない世界だった。世界を魅了する物語作家が三つの大陸を舞台に描く傑作長篇。
著者等紹介
アディーチェ,チママンダ・ンゴズィ[アディーチェ,チママンダンゴズィ] [Adichie,Chimamanda Ngozi]
1977年ナイジェリア生まれ。抜群の知性としなやかな感性で繊細な物語を紡ぎ出す。2007年『半分のぼった黄色い太陽』でオレンジ賞受賞。13年『アメリカーナ』で全米批評家協会賞受賞
くぼたのぞみ[クボタノゾミ]
北海道生まれ。翻訳家、詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃちゃ
116
誰もが自ら選ぶことのできない肌の色のために、これほどまでに多くを失い、深く傷つかなければならないものか。上編は、ナイジェリア出身の留学生イフェメルが、恋人のオビンゼに後押しされて渡米し、アメリカの人種的マイノリティとして厳しい現実に直面する姿を中心に描かれる。ナイジェリア人としての誇りやアイデンティティを抑圧しなければ生きてゆけない現実に煩悶するイフェメル。十数年後、再び帰国する彼女を待ち受けていたものは何か、別れた恋人オビンゼとの関係はどうなるのか。鋭く繊細なアディーチェの筆致に魅了されつつ、下編へ。2020/06/16
マカロニ マカロン
15
個人の感想です:B+。誤って先に下巻を読んでしまった本書だが、案外下巻➡上巻も悪くない。下巻は巻き糞の衝撃シーンから始まったが、上巻は時系列が飛んでいるので、普通に上巻から読み出すと、自分がどこに居るのか分からなくなりそう。イフェメルとオビンゼの出会うシーンに期待しながら読んでいたが、思っていたよりあっさりで、下巻最後のこの二人の松ぼっくいは燃えあがらないのではないかという私の予想は変えないことにした。本書には髪を巻くシーンが何度も出てくるが、コーンロウ、ブレイズなどの髪型はプライドの表象でもあるようだ2022/12/03
ザビ
15
とても面白かったです。イフェメルの目に映る多様性社会への疑問や憤り。髪型、訛り、彼氏…普段の日常の中に人種ごとの社会階級を意識せざるをえない場面が繰り返され、これがアメリカの一方の現実なんだなと思った。「カートっていくつか電話をかければ、物事の位置をずらして自分の思い通りに配置換えできるんだ」仕事が決まらず鬱病にまで陥った頃の生活と、白人彼氏ができた後の生活ステータスの落差は驚くほど。イフェメルは彼氏に感謝しながらもそこに「小さな憤り」を感じる。こんな身近な視点に共感することが多くて読んでいて楽しい→2021/11/07
まこ
13
時系列と3つの大陸を行き来する。イフェメルはアメリカで、同じナイジェリア人でも立場によって違う現実に当たり、ナイジェリアのオビンゼはアメリカへの憧れを直に感じる。特に顕著なのは髪型。アフリカ系女性の髪型は型にはまっているのに当の本人達は違う。今のイフェメルは感じた違和感をブログにしてアメリカに慣れたのか。2022/08/27
gachi_folk
12
アフリカン・アメリカンが黒人を意識する瞬間。それは編み込まれたナチュラルヘアーや、アメリカ独特のrの発音からでもなく、ごくごくありふれた日常から生まれる。海を渡ると共に付随するイニシエーションは、休まることを知らない病みだ。2020/02/02