内容説明
危機の時代に必ず甦える思想家ベンヤミン。その精髄を最新の研究をふまえて気鋭が全面的に新訳。「暴力の批判的検討」「技術的複製可能性の時代の芸術作品」(第三稿)「歴史の概念について」など究極のセレクトによる本書は、ベンヤミンの言語、神学的歴史概念、メディアなどの主要テーマをめぐりつつ、その繊細にしてアクチュアルな思考の核心にせまる。ベンヤミンを読むならこの一冊から。
目次
言語一般についてまた人間の言語について
暴力の批判的検討
神学的・政治的断章
翻訳者の課題
カール・クラウス
類似性の理論
模倣の能力について
ボードレールにおけるいくつかのモティーフについて
技術的複製可能性の時代の芸術作品(第三稿)
歴史の概念について
著者等紹介
ベンヤミン,ヴァルター[ベンヤミン,ヴァルター][Benjamin,Walter]
1882‐1940。ドイツの哲学者、文学者。唯物論とユダヤ主義の両極を横断しながら独自の思考を展開、20世紀における最も重要な思想家として大きな影響を与え続ける
山口裕之[ヤマグチヒロユキ]
1962年生まれ。ドイツ文学者。東京外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
33
『翻訳者の課題』-現在、逐語訳は翻訳者の怠慢であり、意訳をして読了可能性を高め、全体で何を表現しているかを示すことが重要だという風潮から光文社古典新訳文庫のようなレーベルが登場してきています。この問題に対して、ベンヤミンは意外にも逐語訳を推しています。『言語一般について また人間の言語について』を発展させたような純粋言語を志向するという目的が前提にあり、逐語訳の断片を原作者の意図を汲み取り、翻訳者の言語の中で繋ぎ合わせ「ちょうどあの破片が一つの器の断片であると認められるように、原作と翻訳の両者をもっと大き2020/04/30
34
26
歴史の危機が知覚の危機に類例のない仕方で結びついていたのがベンヤミンの生きた時代であった。技術は知覚の危機を推し進めると同時に、「人間がどこまでそれに耐えられるか」という意味で、知覚の壮大な実験場と化す。技術が主体としての人間をチェックしかつトレーニングするとき、歴史の危機は、政治がそれを全面的に我有化する傾向においてあらわになる。「政治を美化するためのあらゆる努力は、ある一つの点で頂点に達する。この一つの点とは、戦争である」。このとき哲学的認識の任務とはどのようなものでありうるのだろうか?2017/02/04
ラウリスタ~
13
前半はなかなか骨の折れる読書だったが、波に乗ってからはかなり面白く読めた。ベンヤミンはドイツのフランス文学研究者っていう位置づけでもいいのかな、ちょっと思っていたのと違った。『翻訳者の課題』『カール・クラウス』『ボードレールにおけるいくつかのモチーフ』『技術的複製可能性の時代の芸術作品』などなどが収められている。ニーチェのようなアフォリズムが心地よく、分析する対象からどんどん離れてベンヤミン自身のことを語りだす口調もよろしい。2013/03/13
ジャン
4
読んだもののみについての感想。本当は全部読まないといけないが、他は気が向いた時に読もう。 【暴力の批判的検討】 特定の法や正義の実現や維持に繋がる法措定的暴力や法維持的暴力を否定し、それらを超越した神的暴力(実は法措定的暴力・法維持的暴力である神話的暴力とは区別される)の到来が期待される。そもそもそんなものが存在しうるのか、ベンヤミンも神的暴力は神話的暴力と区別できないかもしれないと言ってみたり、議論に苦慮してる印象が残る。2023/03/16
蓼 tade.
4
アガンベンが好きなので、そちらから。ベンヤミンの用いるレトリックを、アガンベンが如何に踏襲し、また敬愛しているかが良く分かりました。なにぶんにも繊細であり精密。特に感情と感覚を動かされたのは、ボードレールおけるいくつかのモティーフについて、カール・クラウス、類似性の理論、でした。アガンベンは詩的言語と哲学的言語の貫通を、スタンツェと称して、実践してきたと思いますが、プロトタイプはやはりベンヤミンなのですね。とにかくレトリックの力が緊密にして美しい。勿論、アクチュアルに徹しているさまも美しいです。2023/02/25