出版社内容情報
史上、最もラディカルな詩群を残して砂漠へ去り、いまだ燦然と不吉な光を放つアルチュール・ランボーの新訳全詩集。生を賭したランボーの「新しい言語」が鮮烈な日本語でよみがえる。
内容説明
「このまま進んでも、あるのは世界の果てだけだ」史上、最もラディカルで最も美しい詩群を残して、いまだ燦然と不吉な光を放ちつづけるアルチュール・ランボーの新訳全詩集。生を賭して実践したランボーの「新しい言語」が、かつてない日本語訳によって甦る。
目次
ある地獄の季節(悪い血;地獄の夜 ほか)
イリュミナシオン(大洪水の後で;少年時代 ほか)
詩篇(みなし児たちのお年玉;感覚 ほか)
新しい詩―わが心よ、俺たちにとって、いったい何だというのか…(涙;カシスの川 ほか)
その他の作品―子供時代の散文(シャルル・ドルレアン公のルイ十一世への手紙;愛の砂漠 ほか)
著者等紹介
ランボー,アルチュール[ランボー,アルチュール][Rimbaud,Arthur]
1854‐91年。フランスの片田舎で生まれ、15歳にして詩才を発揮、パリ・コミューンへの参加、ボヘミアン生活などをへつつ、「ある地獄の季節」「イリュミナシオン」などを執筆、20歳すぎで詩作を捨て、26歳でアフリカに旅立ち、37歳で死去
鈴木創士[スズキソウシ]
1954年生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
92
「早熟の天才」と言われるだけあり、その紡ぐ作品が恐ろしさを見せつけられます。散文のような詩の数々から感じるのはまさに魂の叫びと言ってもいいでしょう。不吉な輝きを放つ言葉の数々に荒削りな魅力を覚えずには入られません。20歳で詩歌を捨て、文学の世界から去ったランボー。天才が故に生涯を文学に懸けることができなかったのでしょうか。何とも言えない衝動に溺れるような感覚に陥ります。2016/10/29
里愛乍
27
最近になってようやく自分なりに〝詩〟の読み方というか、触れ方が分かってきたような気がする。自分の足りない頭で書いてある言葉としての〝詩〟の中身を意味を知ろうとすることが間違っていた。詩人は言葉を表現しようとしているのではなくて、彼らの視えている感じている、言葉として存在していないものをどうにか存在する言葉を使って表現しようとしている。解読等、寧ろ他の言葉を使って表現することは非常に難しいのではなかろうか。ましてや翻訳など。逆に云えば、彼らと同じ感性があればその言葉を通して同じものが視えるのかもしれない。2018/04/27
ロビン
22
「見者であらねば、見者にならねばならない」ー15歳で詩作を始め、20歳でそれを放棄してアフリカで商人となるも、病を得て37歳で死んだ流星のような天才詩人アルチュール・ランボーの全詩集。田舎からの出奔やヴェルレーヌとの深い関係とその決裂など、その生き様を含めとにかく反逆的な激しい印象の人である。ロマン派、象徴主義、シュールレアリスムの要素を全て持っている詩群と感じるが、絵画でいえばピカソの「泣く女」がイメージされた。ボードレールからの影響とギンズバーグへの影響ははっきり感じる。対訳版にも挑戦しようと思う。2020/12/18
ノブヲ
9
太陽のような無邪気さがこの若き天才詩人の半分を照らし、闇に沈んだもう半分には臆病さが苦悩と共に潜んでいる。彼はときに賤民となり聖地巡礼の旅に出る。いや嘘だ。真実はキャラバンを組んで水のない砂漠を渡る地獄巡りだ。太陽が彼の周囲をグルグルと廻り、たえず光と影の位置が入れ替わる。それはまるでサーカスで綱渡り師の曲芸を仰ぎ見ているような気分だ。その危うさに不安ばかりがかきたてられる。だがすべては幻。そろそろ夜も明ける。「目を覚ませ、もう真昼だ」2023/10/31
OZAC
8
以前からずっと読みたかったランボーの「ある地獄の季節」だが、期待以上の素晴らしさだった。 “俺は何日ものあいだ眠りこけていたが、起きると、一番悲しい夢を見続けるのだった。” (本文より抜粋) 2017/10/08