内容説明
人類の歴史を揺り動かした五〇〇年前の気候大変動とは、いったい何だったのか?人口大移動や農業革命、産業革命と深く結びついた「小さな氷河期」を、民衆はどのように生き延びたのか?現在、地球規模の温暖化に直面しているわれわれが決して無視できない問題に、気候学と歴史学の双方からアプローチした名著。
目次
第1部 温暖期とその影響(中世温暖期;大飢饉)
第2部 寒冷化の始まり(気候の変動;嵐とタラとドッガー船;巨大な農民層)
第3部 「満ちたりた世界」の終焉(飢えの恐怖;氷河との闘い;「夏というよりは冬のよう」;食糧難と革命;夏が来ない年;アン・ゴルダ・モー―大飢饉)
第4部 現代の温暖期(ますます暖かくなる温室)
著者等紹介
フェイガン,ブライアン[フェイガン,ブライアン][Fagan,Brian]
イギリス生まれ。カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校の人類学名誉教授。考古学関連の著書を多数発表している
東郷えりか[トウゴウエリカ]
上智大学外国語学部フランス語学科卒
桃井緑美子[モモイルミコ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fseigojp
12
北海沿岸で開発された農法を取り入れ農業革命ー>囲い込みで集約度を上げー>産業革命へ至ったイギリスと、怠ったフランスが1789年の飢饉で大革命につながるくだりは実に面白い。2015/07/20
Saiid al-Halawi
11
NAO(北大西洋振動)指数の如何によって食料生産の出来不出来が決まってたという欧州のガチ農業経済。小氷河期=19C初頭だけじゃなかったのは分かるんだけど、それをちゃんと史料から読み解こうとしてるのがすげー2015/12/25
ovonkovon
10
中世から現代にかけての小氷河期が西洋史に与えた影響を論じているが、気候の影響を受けるものとして、やはり農業や漁業への影響が主に記載されている。すなわち、飢餓の歴史だ。安定した気候下でもカツカツの収量だったところへ、小氷河期の到来とくれば推して知るべし。飢える→農業を集約化する→収量は増えるが土地を無くした農民が生き地獄を味わう、とか、栄養価が高く収量も多いジャガイモを主食にする→疫病により全滅と、問題を克服するたび次の問題を派生する様に凹んでくる。気候の予測がつかない進行中の温暖化の怖さが身に沁みた。2013/04/21
まこ
9
歴史を気候の面から見ていく。大きな変動で作物が育たなくなり飢饉が起こる。そこから人の動きにも変化が起こるが、その動きも民族大移動から留まって政治を変えるに変化している。そこの変化は何が絡んでいるんだろう2020/10/14
鐵太郎
7
ヨーロッパを中心に、考古学時代から現代までの気候の変動と文明の関連を「NAO指数」(北大西洋震動)などを絡めて俯瞰したもの。極端な温度変化や温暖化していくいまの時代を読み解く手がかりになるかな。気候の変動で苦しんだ人々の描写がいささか悲観的すぎるきらいはあるけど、こういう視点から歴史を見るのも興味深い。歴史の動きに絡んでもっと面白く書いてあればもっと売れるのに、と思った。(ぶっちゃけ、途中いささか冗長なところがあると思ったので。それと欧州史に偏りすぎ。これは仕方ないかな)2016/01/11