内容説明
ドゥルーズの思考の核心をしめす名著、渇望の新訳。下巻では永遠回帰は純粋な出来事の理論であり、すべての存在はただひとつの声であるという「一義性」論から言葉、性、幻影、セリーへと、アリスとアルトーと伴走する思考の冒険は驚くべき展開を見せる。ルクレティウス論、トゥルニエ論などの重要テクストも収録。
目次
一義性
言葉
口唇性
性
善意は当然にも罰せられる
幻影
思考
セリーの種類
アリスの冒険
第一次秩序と第二次組織
付録(シミュラクルと古代哲学;幻影と現代文学)
著者等紹介
ドゥルーズ,ジル[ドゥルーズ,ジル][Deleuze,Gilles]
1925年生まれ。哲学者。1995年、自ら死を選ぶ
小泉義之[コイズミヨシユキ]
1954年生まれ。立命館大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白義
12
後半はドゥルーズによる精神分析批判の始まりとも言える。動的生成とシミュラクル、出来事の理論を示しながら、ラカンやクラインとは全く違うやり方で主体、秩序の立ち上がる過程を描いている。しかしそれは旧来のオイディプス的序列の転倒、多様な欲望の解放のための分析であり、不穏さを孕んでいる。付論も圧倒的に面白い。カオスと肯定を軸にした自然主義による古代哲学の継承と、クロソウスキーや盟友トゥルニエに捧げられた名評論。これらもまた、身体と言語というセリーの流れで本論と交錯している2011/11/09
またの名
9
自我・世界・神の同一性を廃棄して各セリーが発散し分離したまま肯定される脱中心化された永劫回帰の秩序では、廃棄された中心の代わりにそれぞれの出来事やセリーを取りまとめる唯一の端的な純粋な出来事の一義性が現れるという、バラバラなのに全てが等しい世界像がドゥルーズを読み解くカギ。イデアを転覆するシュミラクル、全体なき雑多、前個体的なエロティシズムへと溶解する身体と言葉、他者なき分裂症的世界、裂け目の死の本能を論じる付録のアナーキーな破壊力は、深層を動的発生に導く表面のユーモアがあって初めて維持できる危険な代物。2014/09/24
ラウリスタ~
6
『意味の論理学』自体は下の前半までで、付録として「シミュラクルと古代哲学」「幻想と現代文学」が付いている。フロイトと表面と裂け目といろいろ。反復的というかたぶん螺旋階段的な文章。物理的表面から形而上学的表面へ、など分かったような分からないような。摂取、性感帯、ファロスなどなどの裂け目、深層、表面にまつわるもろもろ。2014/02/15
wadaya
5
ドゥルーズ&ガタリとして共同作業に入る以前の著作であるが、既にこの時から「アンチオイディプス」(資本主義と分裂症)の原型はできていたのだと感慨深い。ある意味で「意味の論理学」の下巻は、最もドゥルーズらしい。その代わり次々に飛び出してくる独自概念のせいで非常に難解である。途中、読み慣れた私でさえ置いて行かれそうになった。それでも多少の迷子は気にせず、キーワードを丁寧に理解すれば全体が見えて来るだろう。だがドゥルーズ初心者のために「器官なき身体」と「機械」についてだけ初めに述べさせていただく。→2019/12/07
Bartleby
5
「「哲学が何の役に立つのか」と問い尋ねる者に対しては、こう答えるべきである。自由な人間のイマージュを立ち上げること、その力能[権力]を安定させるために神話と魂のトラブルを必要とする一切の力に破棄通告をすること、この程度のことにでも関心を抱いている者が他にいるのか、と。」(「ルクレティウスとシミュラクル」から)2016/09/06