内容説明
一七七〇年、わずか十四歳のオーストリア王女がフランス王室に嫁いだ。ただ美しくただ愛らしく、楽しいことが大好きなだけの平凡な少女、マリー・アントワネット。歴史はなぜか、残酷にも彼女をフランス革命という表舞台に引きずり出していく―。フランス革命小説の決定版、伝記文学の巨匠、ツヴァイクの最高傑作。
著者等紹介
ツヴァイク,シュテファン[ツヴァイク,シュテファン][Zweig,Stefan]
1881‐1942年。ウィーン生まれ。ウィーン大学卒業。在学中から文学活動をはじめ、詩・小説・伝記・戯曲・評論・翻訳と文学の全ジャンルに業績をあらわす。ナチスの手を逃れ亡命、フランス・アメリカ等を転々。ブラジルで自ら命を断つ
関楠生[セキクスオ]
1924年、静岡県生まれ。東大独文科卒業。東大、獨協大教授を経て、東大名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
20
ツヴァイクの辛辣な筆致で、名高いマリー・アントワネットの生涯が語られます。無邪気で奔放で人好きのする少女が、厳格で生真面目な母親の目が届かないまま育ち、フランス王家に嫁ぐ。結婚相手は優柔不断で人の心がわからない内気な王太子。視野の狭い二人が互いを知ろうとしないまま王と王妃になり、なんの掣肘もないまま好きに生きた結果はどうなったか。悲劇の萌芽となる首飾り事件から革命の勃発で上巻は終わり。国家の母であるフランス王妃という地位にいることに気づいたのはあまりに遅かったという描写が悲しい。2025/07/21
ひろし
2
ルイ16世は包茎だった。本の最初のトピックがこれである。飛ばしすぎじゃないですかねツヴァイクさん。しかもその後包茎を軸に夫婦関係や精神分析がなされていく。あぁ哀れやルイ16世。200年以上も経って極東の庶民にも赤裸々にそんなことが知られ同情されてしまうとは、記録とはなんと残酷であろう。王妃の奔放な生活の終わりを告げる首飾り事件が上巻のハイライトだが、完全なるフェイクニュースをきっかけにフランス革命が起きたのがわかる。愛人と寝たのかどうか詳細に検討もしてるし、内容はワイドショー並だが事実これで歴史が動いた。2018/01/07
uburoi
2
有名な首飾り事件を王妃が告発することによって自分の首を締めた格好で信頼を失い、時代はフランス革命へ一気に雪崩れ込んでいく。桜花賞でメジャーエンブレムが敗北した日、マリー・アントワネットが断頭台に向かって歩き出した場面を読むことになった。まことに劇的でダイナミック、ツヴァイクの筆は歴史の大変動を詳細に描き出した。フランス革命を知りたいならまずどんなテキストよりもこの傑作評伝を読むべきではなかろうか。2016/04/10