内容説明
ニューヨークの喧噪を離れ、ペンシルバニアの片田舎で、執筆活動のかたわら夫や息子と穏やかに暮らすことを夢見たイーディス。だが、夫の伯父ジョージの突然の闖入によってその夢は脆くも崩れ去ってゆく。そんなときイーディスに残されたものは、一冊の厚い日記帳だけであった。やがて彼女は日記に描かれたもう一つの別の世界、彼女自身の幻想を生きはじめる…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
h
3
「クリッフィーは手仕事が大嫌いだったし、ひどく不器用だった。コカコーラの壜でさえろくに握れないのだから、ハンマーなどもってのほかだった。ナイフやフォークを皿の上に落とすのは日常茶飯事である。人類学者が人類にとっての天恵であると(猿にとってもであるが)呼ぶところの関節を有する親指はクリッフィーの場合、あまりに短く不器用で、他の短い指同様あまり助けにはならなかった。クリッフィーの役に立たない手は、彼の人生や現実に対する把握の程度を高らかに公言しているかのようだった。」2015/08/02
シェル
1
自分の辛い生活から目を背けるため、日記に妄想を書き付けるイーディス。読んでいてかなり辛くなった。下巻で救いはあるだろうか?2018/11/24
せみ
0
底なしの糞溜めで光る日記が痛々しい。2012/06/26