内容説明
シェイクスピアの正体だとの説のあるマロリーの犯した殺人事件、140人もの子供を殺したジル・ド・レ、ロンドンの殺人鬼ジャック・ザ・リパー…。17世紀から20世紀にいたる殺人パターンの変遷を、いくつもの事件を小説のように描き紹介することで写しだし、人間の自由と社会の風習や儀式との関係を探究した、ウィルソン版殺人の社会史。
目次
第1章 初期の殺人
第2章 ジンの時代
第3章 人肉嗜食者と強姦者
第4章 暴力の時代
第5章 犯罪発見の時代
第6章 恐怖の部屋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
10
著者の名前は知っていたが、本を読むのは初めて。字が小さく、情報量も相当なものだが、かなり面白く読めた。単純に殺人事件を説明するのではなく、その時代時代の特徴を取り上げながら、歴史的な変遷を辿ってくれるのがいい。読み進めている時には気づかなかったが、解説を読んで面白いのはウィルソンの巧みな筆致にあったことが理解できた。ただ、「膨大な情報量」は欠点にもなる。凄まじい数の人名が登場する上、西洋人の名前は覚えづらく、事件と違う箇所で名前を出されると、どの事件の犯人かわからなくなる。小見出しも欲しいところ。2018/07/15
新橋九段
2
過去の犯罪の事例集としてかなりの情報量を誇る。が、それ故に全体像を把握するのがかなり大変であるという欠点も。2019/12/25
Gen Kato
1
20数年ぶりの再読。「支配的傾向の五パーセント」とか、懐かしいな。「自分が親であるという父の証明の仕方は、私を殴ることだけだったのです」ってくだり、まるで我が親の姿を読むようだったっけ。こういう書物から自分の境遇を理解しようとしていた当時をしみじみ思いかえす。2016/05/10
Kenshi
0
人間の自由さ。エド・ゲインの所業はものすごく歪んでいるけど、動機からはまっすぐつながっていてわかりやすい。2013/04/18