内容説明
第一級のミステリー並みに面白い本格小説巧みな語り手J・ファウルズの最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
138
謎解きを早くして欲しくて、後半は一気に読んだが、そのせいでどこか読み落としたのだろうか、まだストンとこない。どこまでがどうなのか?というところを意識して、今年の夏、海の見えるところででも再読したいと思う。このままでは済ませられない。村上柴田翻訳堂で新訳・解説をお願いしたいな。2017/04/07
NAO
68
キーワードは「隠れん坊」。何が隠れているのか、ニコラスは必死になって探そうとする。物に、人物に、出来事に。なんでもない仕草や言葉の端々に、巧妙に隠された真実がある。また、いかにも真実っぽく装われた嘘であったりする。真実とは何なのか。ニコラスは女性の敵といっていいクズ男だが、どうしてここまで?と思わないでもなく、ニコラスの最期の言葉には逆の意味での清々しさを感じてしまう。もちろん、自分がこういう男性と関わりを持ちたいとは絶対に思わないけど。そして、ニコラスをここまで徹底的に翻弄したコンヒスの謎と闇。 2019/02/21
夏子
7
主人公が巻き込まれた「神様遊び」がどんどん大掛かりに、異常とも言える程複雑になっていくのがとても怖い。全てが終わったと思われた後探偵のよう な主人公が一生懸命に嘘で塗り固められた世界を解き明かそうとしても最後までどこまでが本当なのか解らない不気味さがあった。長い小説だったけどこの長さがこの物語には必要だったのかもしれないと思う。2015/07/23
ベック
7
この読了して、残っている感触、全体像としての印象をこれほど伝えにくい小説はいままでになかった。また、これほど翻弄され、あれこれ類推したことはなかった。かといってそこに徒労はない。まさに稀有な物語。2012/05/18
johanna.K@よはんなと読む
5
濃かった。そして、長かった。上巻でも触れたように、様々な要素がひしめき合って何小説とも言えない何物かを作り上げているのだが、しかし、よくこれだけ濃く長いものを最後まで読ませ得たと思う。情景描写、心理描写、謎を謎として魅力的なまま語り続ける力量がなければ、どこかで破綻してしまっていたように思う(中だるみはあったが)。これだけの作品を書きながら認知度低めという気がするのは、70年代以降逝去まで長く闘病生活に入っていたこと、11作品中邦訳7作、絶版多しという不幸のせいだろうか?もっと周知されて良いと思うんだ。→2011/06/10