内容説明
第一級のミステリー並みに面白い本格小説巧みな語り手J・ファウルズの最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
139
謎解きを早くして欲しくて、後半は一気に読んだが、そのせいでどこか読み落としたのだろうか、まだストンとこない。どこまでがどうなのか?というところを意識して、今年の夏、海の見えるところででも再読したいと思う。このままでは済ませられない。村上柴田翻訳堂で新訳・解説をお願いしたいな。2017/04/07
まふ
73
アーフェは教師の仕事も忘れてリリーを追いかけるがその双子の姉ローズとともに出没が定かならず、困惑しながら深追いをし、ついにリリーへの恋慕が実った、と思ったその次の瞬間「何者かに」捕らえられて監禁され不思議な法廷へと連れ出される…。読者として一体どうなっているのだ?と思う間もなく、以後、怪しげな展開が次々に現れて「趙現実的世界」へとなだれ込む。最後の最後まで、何が本当の世界なのかがつかめないままに、最終段階で「そうか」と納得する。⇒2025/10/20
NAO
68
キーワードは「隠れん坊」。何が隠れているのか、ニコラスは必死になって探そうとする。物に、人物に、出来事に。なんでもない仕草や言葉の端々に、巧妙に隠された真実がある。また、いかにも真実っぽく装われた嘘であったりする。真実とは何なのか。ニコラスは女性の敵といっていいクズ男だが、どうしてここまで?と思わないでもなく、ニコラスの最期の言葉には逆の意味での清々しさを感じてしまう。もちろん、自分がこういう男性と関わりを持ちたいとは絶対に思わないけど。そして、ニコラスをここまで徹底的に翻弄したコンヒスの謎と闇。 2019/02/21
sabosashi
18
九百頁ものこの作品をようやくのことで読み終えて身も心も疲れ果てた、というのが偽らざるのところでほとんど喘いでいる。でも気を取り直していくしかないか。イギリスから始まって地中海、ギリシャ沖の孤島でのストーリーはロマンに溢れているといえる。ところがすべてが波瀾万丈で一歩先が読めない。振り回される。それはまさに至上の喜びを意味しているのだが。しかし盛り込まれているのはいわば難解なロジックもふくめて、追いかけていくのが精一杯。考えてみればあれよあれよという間にここまで来てしまったという感じか。2024/10/01
夏子
7
主人公が巻き込まれた「神様遊び」がどんどん大掛かりに、異常とも言える程複雑になっていくのがとても怖い。全てが終わったと思われた後探偵のよう な主人公が一生懸命に嘘で塗り固められた世界を解き明かそうとしても最後までどこまでが本当なのか解らない不気味さがあった。長い小説だったけどこの長さがこの物語には必要だったのかもしれないと思う。2015/07/23




