感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えりか
45
頂き本。紀伊国屋さん限定復刊で。幻想怪談文学集。中には寒気のするものも。冒頭、ルゴネス「火の雨」から、その恐ろしさ、その幻想に引き込まれる。アンデルソン・インベル「魔法の書」が好き。ページから目を離してしまったら1ページ目から読み直さなければならず、更に読み終わったら続きは1ページ目に戻るという永遠に終わらない書を読み続ける男。読み続ける者がいるということは書き続ける者も…。他、コルタサル「奪われた屋敷」兄妹の静かな愛の生活に忍びよる影。近親相姦、愛、後ろめたさ、恐怖。あとがきで作家たちが対談してる(笑)2017/09/24
燃えつきた棒
43
怖さを求める人には、やや物足りないかも知れない。 少なくとも、僕には恐怖を感じさせる作品は見つからなかった。 たぶん、キリスト教文化圏の人々と日本人では、怖さのツボが違うのだろう。2019/08/08
ニミッツクラス
34
【日本の夏は、やっぱり怪談】〈其の三・和洋折衷〉 90年(平成2年)の税抜660円の河出文庫初版。17年に新装版が出ている。鼓(つづみ)氏編の中南米15編を収録。邦題の“怪談集”はツリっぽくて幻想奇譚寄り。国外へ出た事のある著者が多いので中南米の生活臭も薄い。巻頭「火の雨」は凄い…晴れた空から白熱した銅球の雨が降る。未曽有のディザスターだよ…バラードもヴェルヌも卒倒だ。ムヒカ=ライネス「吸血鬼」は吸血鬼映画製作の顛末で、本書の中では唯一直球で良き。「波と暮らして」は“波”の押しかけ女房。★★★★☆☆2024/08/21
くさてる
29
怪談と銘打ってはいるものの、どちらかというと幻想的で奇妙な話が多くて、楽しめました。個人的に大当たりは、少女の日記を通してその禍々しさが徐々に明らかになっていく、オカンポ「ポルフィリア・ベルナルの日記」この日記の文章が、瑞々しくて不可解で、とにかく良かったです。2021/09/08
かわうそ
27
怪談といって想像されるおどろおどろしい雰囲気のものは少なく、奇想・幻想小説が中心の作品集。どれもハイレベルで満足度高し。一読して印象深く長く記憶に残りそうなのはインベル「魔法の書」。その他お気に入りはコルタサル「奪われた屋敷」、ムヒカ・ライネス「吸血鬼」、ムレーナ「騎兵大佐」等々あげればきりがないぐらい。2017/09/09