内容説明
近年、『女帝エカテリーナ』をはじめとする多くの歴史評伝が日本でも紹介され、好評をはくしたフランスの作家、アンリ・トロワイヤによる、珍しい短篇集。どちらかといえばトロワイヤの余技に属すると思われるこの作品集は、死者や幽霊の話およびSF的な作品で構成され、結末に絶妙なおちをきかせたブラック・ユーモアあふれる洒落た幻想的コント集に仕上げられている。全7篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニミッツクラス
28
【日本の夏は、やっぱり怪談】〈其の二・洋編〉87年(昭和62年)の420円の河出文庫初版。トロワイヤの7編を収録。先発82年に青銅社版単行本が出て、それは57年の村山書店版「共同墓地」を改題したものである。内容は怪談と言うほどでも無いなぁ…「自転車」は死んだ夫の悋気に翻弄される気の毒な未亡人の話。「むじな」はムジナと言う言葉が怪異と同義語なのか…墓所と屋敷直通の電話の設置を依頼する老婦人の話。「死亡統計」は惜しい!…ネタはすこぶる良いのだがオチがショボい。「カメレオン」は性格変更の治験話。★★★★☆☆2024/07/31
kaze
3
★★☆ 怪談というより不思議な味わいの短編集だった。「恋のカメレオン」が好き。2014/12/21
はるゆき
2
「軽妙にして明快な怪奇趣味」…これは面白いです。幽霊が出てくるものは少なくて、どちらかというと世にも奇妙な物語を連想させる話ばかりでした。2015/02/04
経緯
1
怪談からイメージされる、怖い話というよりは、奇想が楽しい短編集だった。文章は易しく、セリフが多くて、コントみたいという解説も確かに頷ける。語り方は前衛的ではないけれども、起こっている事態は奇妙で、スッキリしっかり面白い。「むじな」「黒衣の老婦人」「恋のカメレオン」などが特に良かった。2017/10/07
春色
1
「自転車の怪」「死亡統計学者」の二作は怪談だが、他の五作は世にも奇妙な物語風味。/最近は怪談と名が付けられつつも、幻想小説寄りの作品にばかり当たってたので、怪談らしいものが収録されていたのが意外だった。2011/02/11
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