河出文庫<br> 新ジュスティーヌ

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河出文庫
新ジュスティーヌ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 261p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784309460376
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

身も心も美徳に捧げ、美徳のために生きようとしたがために、悲惨な出来事に次次と遭遇し、不幸な結末をむかえる美少女ジュスティーヌ。悪徳に生きた姉ジュリエットの物語と対をなすこのジュスティーヌの物語には、三つの異本が存在するが、本書はその最後の稿にあたり、決定版ともいえるものである。より客観的な手法で、人間の根源的残酷さを描き尽し、思想の深まりを示すサド後期の傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みや

28
心優しい美女や美少女がひたすら暴力と凌辱に苛まれるだけの物語で、全編通してエログロスカトロしかないのに陽気で爽やか。真摯に生きた者が最後に救われる。善い行いは誰かが見ている。苦労は報われる。そんな綺麗事を真正面からことごとくぶち壊してくれる。好き放題に生きた者勝ちの思想が私の価値観と見事に合致し、最高に気持ち良かった。好色側の人物たちは本能のままに生きていながら社会を冷静に捉え、快楽に従うことを理論的に正当化し、淫蕩を哲学的に議論する。納得させられる言葉ばかりで、面白さと同時に学ぶところの多い作品だった。2018/06/12

三柴ゆよし

10
幾度か書き直された代表作のこれが最終稿だが、澁澤の翻訳は抄訳ですらない部分訳であり、『美徳の不幸』のあらすじをある程度把握していないと、はっきり言って意味がわからないだろう。快楽の饗宴に耽る悪党たちによる長広舌(道徳について、霊魂の問題について)により小説としての結構はいちじるしく破壊され、暗黒ユマニスム啓蒙の書といった思想書としての趣を獲得している。主人公ジュスティーヌの影が希薄なのも象徴的でおもしろく、美徳が悪徳を滅ぼすことはきわめて稀であっても、悪徳は美徳をつねに食い物にしてその埒をあけるのである。2018/03/31

aki

9
書かれた内容が酷いことはさておき、サドが登場人物に語らせた、女について・魂についてなど様々な議論の内容に関しては一度ゆっくり読み直し、当時の考えとサドの考え、それから自分の考えとの相違点を考えてみるのもいいと思った。サドの考えを現代の思想と比べたときに、サドの考える要素が現代に残ったのか、それともただの一思想として考えられるだけのものになっているのか、そういったことについても考えてみたい。今回は小説として読みたかったので議論のパートは飛ばしてしまった。難しい。2016/05/13

hgstrm2

5
再読。サドを読むのも結構久しぶり。どれを読んでもだいたい同じだけれど。同じようなことの繰り返しだし、退屈といえば退屈なのだけど、それでもなにか魅かれるものがあるのはなぜかといえば、既成の道徳や常識などをぶち壊してやろうという心意気と、民主主義や平等などをあざ笑うかのように、徹頭徹尾、貴族的であるからなのだ、ということを再認識。 心の中のなにかぼやーっとしつつあった部分が、再活性化したかのような感覚を覚えた私も悪人なのだろうか。或いは、現代においては、貴族的であるということが既に悪なのか。。 2014/08/10

双海(ふたみ)

4
「女の特徴であるべき恥じらいとか、やさしい心とかを棄ててしまった女の人は、男の人よりもっと早く、もっと無分別に、悪徳と無軌道の泥沼に落ちてゆくものなのですわ」とジュスティーヌは言ったが、彼女は憐憫の情のあまり娼婦となり、美徳の一念のあまり淫蕩な女となるのだった・・・。2013/10/25

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