内容説明
この本はなんとシャーロック・ホームズの生涯を、ホームズ物語とその周辺の資料から再構成してしまったというホームズファンもびっくりの奇書である。「注釈つきシャーロック・ホームズ全集」で有名なシャーロッキアン、Ｗ．Ｓ．ベアリング＝グールドによって完成されたこの架空の伝記は、ホームズ関係の古典として、ホームズファンの間でつとに有名である。ファン必携の名著ここに復刊！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とびほびこび
27
「本というものは本当に厄介な代物だよ、ワトスン。何しろ遠い昔に出逢い失った記憶まで鮮明に呼び起こすだけでは飽きたらずご丁寧に注釈まで付いているせいで遅々として進まない。こんなに翻弄されたのはアイリーンの時以来だ。こうなると本編の検証までしない事には気が済まないというものだよ。夏の課題図書は決定だとしてグラナダ版DVDも借りておいた方が確実だろう。あぁ、厄介だ厄介だ。」「厄介というよりは嬉しいという方が本音だろうね」2014/06/08
myc0
11
ｼｬｰﾛｯｸ・ﾎｰﾑｽﾞの伝記。これを読んでしまったら、ﾎｰﾑｽﾞ作品が創作物だと考えることがむしろ野暮じゃないかと思えるほどの徹底した出来栄え。作品は全部読んでるはずだけど、簡約されたものしか読んでいないので、こまかい設定は読んでてびっくりする事ばかり。ﾓﾘｱﾃｨ教授がかつてﾎｰﾑｽﾞの家庭教師をしていたなんて知らなかったよ！好きなｴﾋﾟｿｰﾄﾞは2つ。ﾎｰﾑｽﾞがﾗｲﾍﾝﾊﾞｯﾊの滝で行方不明になり、その後奥さんも亡くしたﾜﾄｽﾝ…。再びﾎｰﾑｽﾞが現れ、2人は同居を再開するが、その際にﾜﾄｽﾝの開い2013/08/16
えーた
9
これは凄い。ほぼ完璧な（コナン・ドイルじゃないっすよ）シャーロック・ホームズの「伝記」。著者は筋金入りのシャーロッキアン。全６０もの事件が時系列順に紹介されるほか、両親、兄弟、知られざる幼少期や晩年の事柄なども明らかにされている。無論そこは著者の想像・創造の範囲なのだが、ドイルが残した正典をちゃんと根拠にして語られているので、思わず「なるほど」と唸ってしまう。本書は松岡正剛氏のWebで「絶対にお薦め」と紹介されていたので手に取ってみたのですが、「病膏肓に入る」とはこういうことなのかと凄みを感じた一冊です。2018/06/07
ぽま
8
シャーロック・ホームズの年代学本。事件の年代追求だけでなく、ホームズの少年時代など、正典においての空白部分についても考察を行っている。記述内容全てに典拠が存在する、かなり緻密な研究書。内容については賛否両論あるが、理論に穴を見つけて反対説を唱えるのも、内容を肯定しつつ更に踏み込むのも、勿論それは自由。多数のパスティーシュ作品の参考文献ともなっているため、正典を一通り読破して、これからパスティーシュを読み始めたい人にお薦め。2012/09/29
臓物ちゃん
6
高橋是清と同年に生まれて久生十蘭と同年に死んだ、かの大探偵の生涯を資料ひっくり返して鬼みたいな執念で纏め上げた、両親の馴れ初めまで書いてある伝記本の決定版。こうして見るとマイクロフトにチャレンジャー教授にネロ・ウルフと、ホームズの家系は巨漢が多いなぁ。ホームズ・パスティーシュらしくキャロルにマルクスに切り裂きジャックと数々の著名人が脇役を飾るのもご愛嬌。2020/04/24
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