河出文庫
モデラート・カンタービレ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 153p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309460130
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

「何かに捉えられて出口が見えない、動けなくて息が詰まりそう、そんなあなたの奥に眠るパッションを、この小説は呼び覚ましてくれるだろう。退屈な主婦必読の書。」(谷川直子)

著者
マルグリット・デュラス (デュラス,M)
1914-1996 仏領インドシナに生れる。今世紀最大の女流作家。『愛人 ラマン』で、フランスで最も権威のある文学賞のひとつであるゴンクール賞を受賞。『モデラート・カンタービレ』『インディア・ソング』等、多くの傑作を残した。

田中 倫郎 (タナカ ミチオ)
1930- 広島県生まれ。東京大学文学部美学科卒業。跡見学園女子大学文学部名誉教授。訳書に、デュラス『モデラート・カンタービレ』『インディア・ソング』(ともに河出文庫)、ヴィルコンドレほか『デュラス[愛の生涯]』(河出書房新社)、フェルミーヌ『蜜蜂職人』(角川書店)など。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

269
1958年。デュラス44歳の時の作品。情熱と倦怠と喪失の物語。近くのカフェで起こった情痴殺人事件に引き寄せられていくアンヌ。彼女には日常に確たる不満や不安があるわけではない。かといって、そこになんらかの希望を見出すこともできない。そうしたブルジョア的倦怠の中にいたアンヌと、失業中の労働者ショウヴァンとの交錯。それは恋ですらなかっただろう。恋であったのなら、彼女は自分の現在の境遇を捨て去ることで逆にアイデンティティを得られたかもしれない。プロットや設定は全く違うが、どこかカミュの『異邦人』を思わせる。2013/05/23

新地学@児童書病発動中

112
主人公の女性アンヌは、自分が目撃した殺人事件に関心を持つようになり、酒場で知り合った男ショーヴァンに事件のことを詳しく話してくれるように頼む。アンヌとショーヴァンは次第に心を通い合わせるようになるのだが、二人の仲は深まることはない。かえって、孤独が深まっていく。さり気なく書かれた情景描写や登場人物達の心の動きが、詩的で美しい小説。ここではないどこかへ行きたいという憧れが、物語を覆っているが、登場人物達はこの日常を脱出できない。絶望に押し潰されそうになりながら、その本質を見極めようとする強い意志を感じた。2017/05/06

鱒子

73
ありきたりな不倫とは一線を画す、男女の物語。恋でもなく愛でもないのに、仄暗いロマンと色気を感じます。これは傑作。「ラ マン」の作者だったのですねぇ。  主人公アンヌ デバレードから、グレートギャッツビーのデイジーを連想しました。表面的には真逆の女性に見えますが。ブルジョワジーの閉塞感で喘ぐ日々、虚無感でいっぱいの内面、淀みの中で毎日をただ役割として過ごすーーこんな共通点を感じました。2020/03/25

km

40
日々に倦怠感を覚えるアンヌは、情痴殺人を目撃し、殺してなお女を愛撫する男や、そうなるに至った二人の愛情の縺れを想像する内に自信の熱情に目覚める。その目覚めは曖昧で、ショーヴァンという男の介助によって意識化していくが、熱情を愛に昇華させようとする試みと無意識に下降していく動きの方向の反するベクトルに精神を引き裂かれ、だんだんと自己を喪失していき、狂気に陥る。150ページ程度の短い小説だが、アンヌとショーヴァンの痛みと、狂気の予感からくる緊張感が常に漂っており息苦しくなった。痛ましいスリル。。大満足☺2017/09/30

A.T

34
「ラ・マン」のデュラスなので男女の恋愛か、とは早合点。殺人現場で出会った男女は、それぞれが帰属する社会から逃げる衝動に憑かれた2人だった。それは、狂気へも向かう厳しい選択だ。。。男は、女の夫が経営する海軍工廠の元作業員だが、仕事中に鉄鋼所の持ち場を逃げた過去が。しかも、今もその工廠の作業員が集うカフェに入り浸るなど、サラッと言うけど、これは有り得ないのではないか。女もそれを以前から知って、男に近づいている。女は虚飾と規律に縛られるブルジョワの生活から逃れたいと言うことに、事件をきっかけにして気づいていく。2020/06/01

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