内容説明
破格の構想力によって日本社会を揺り動かした戦後最大の出版人・角川春樹。父・源義との壮絶な闘争を経て社を率いると、数々のメディアミックス商法で社会現象を巻き起こし、出版・映画業界を根底から変革した。そして過激な風雲児はいま、「活字と書店」の守護神に―。文庫化に際し、大幅な増補を施した全軌跡の決定版。戦後文化史の新たな地平。
目次
序章 「角川/KADOKAWA」波乱の時代
第一章 敗れざる者
第二章 少年時代(~二十二歳)
第三章 編集者時代(二十二~三十三歳)
第四章 映画プロデューサー時代(三十四歳~)
第五章 俳人と映画監督の間(四十歳~)
第六章 収監そして復帰へ(五十一~六十二歳)
第七章 最後の監督作品
第八章 それでも敗れざる者
終章 角川春樹、最後の戦い
著者等紹介
伊藤彰彦[イトウアキヒコ]
1960年生まれ。映画史家。映画人の栄光と挫折を濃密に描き、ノンフィクションの新たな領域を拓く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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CTC
6
3月の河出文庫新刊、単行本は11年毎日新聞。著者はデビュー作『映画の奈落』で[北陸代理戦争]の周辺を見事に書き切った映画史研究家。なぜ今角川春樹なのか。昨秋『週刊文春』に「石破茂は“霊能力者”に心酔している」との記事が載った。この“霊能力者”こそが春樹氏なのだ。今や大メディア企業となったKADOKAWAを歴彦氏と相剋しつつ育てた人物が「人の思いは紙を通じてしか伝わらないと信じています」と云う。春樹氏は石破さんを籠絡して私腹を肥やそうと云うのではない、「国策として書店振興をやってもらう」ためなのだ。2025/04/22
takao
2
ふむ2025/04/06
カノープス
2
初読み作家。角川春樹…その人生と業績。伊藤の徹底した下調べと分析によるインタビューにより、それは明かされる。主役は角川であるが、伊藤が本当に優れた仕事をした事で得られた読み応え。出版界、映画界への影響や裏話、今だからこその再評価から角川家の家族史としての一面まで。読みどころは満載である。毀誉褒貶が激しい人物であるのは間違いない。が、本好きとしては、【紙の本と町の本屋を守る】ために【最後の仕事】として出版文化を守る戦いに挑む角川に胸が熱くなる。この貴重な評伝を残してくれた事に感謝したい。2025/03/20