内容説明
油屋の放蕩息子・河内屋与兵衛。だらしないのに愛嬌だけはあり、父母や妹、幼馴染のお吉もついほだされていた。しかし目先の借金に追い詰められた与兵衛は、狂気の殺人者へと豹変し―。いつの世にも存在する、愚かなる青年の幼い暴虐が、血と油にまみれてぬらりと光る。近松門左衛門の人気浄瑠璃を、桜庭一樹の画期的現代語訳で。
著者等紹介
桜庭一樹[サクラバカズキ]
1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロア
20
てっきり七左衛門が集金の帰りに襲われるとばかり思ってハラハラしていたので、私にとってはまさかの展開。殺人シーンがめちゃくちゃ恐ろしかったです(;゚Д゚)今更ながらこのタイトルの迫力ってば……!2025/05/16
びぃごろ
17
『日本文学全集10』より文庫化。一部加筆修正と書き下ろし解題あり。曽根崎心中と並び有名な近松門左衛門の浄瑠璃を現代語訳で読ませてくれる。筋は分かっていても書き手の違うものを読むことで味わいが増すというもの。人形浄瑠璃では上演されない段や結末もあるのでスッキリする。それにしても与兵衛…何故その生き方しかできなかったのか、手を差し出すもの数多、決して孤独であったわけではないのだ。何もしても愛されているという傲慢と甘えが、無意識に根を深く張っていたか…太夫が語るための本読みを私も心根を掴むために読んでいくぞよ。2025/04/07
fseigojp
8
初演以後じつに明治になって再演 救いのない内容 五社英雄の作品は別物と考えるべき 2025/03/21
ゆぽ
6
こちらも歌舞伎で知ってるお話、映像では何度も観ている狂言ですが、改めて読んでみて、与兵衛の人となり、その家族、起きてしまった事件…物語の普遍性を感じます。与兵衛の殺しの場面の描写はゾワゾワしました。近松の題材の取り方と描き方がやはりうまいですね。2025/05/14
ナセル
4
歌舞伎の演目で名前はしっていた作品。ああ、こんな話だったのか… 2025/02/23