内容説明
破局と危機の時代にこそ「革命家」三島由紀夫が復活する。戦時下に書かれた「大東亜戦に対する所感」から、一九七〇年一一月二五日に撒かれた「檄」まで、政治をめぐる文章を精選。危うく鮮烈な思想の生成と軌跡をたどる、初の政治論集。
目次
大東亜戦に対する所感
わが世代の革命
最高の偽善者として―皇太子殿下への手紙
新ファッシズム論
亀は兎に追いつくか?―いわゆる後進国の諸問題
一つの政治的意見
私の戦争と戦後体験―二十年目の八月十五日
二・二六事件と私
「道義的革命」の論理―磯部一等主計の遺稿について
自衛隊を体験する―46日間のひそかな“入隊”
祖国防衛隊はなぜ必要か?
円谷二尉の自刃
二・二六事件について
F104
五月革命
橋川文三氏への公開状
新宿騒動=私はこう見た
自衛隊二分論
北一輝論―「日本改造法案大綱」を中心として
「国を守る」とは何か〔ほか〕
著者等紹介
三島由紀夫[ミシマユキオ]
1925年、東京生まれ。学習院を経て、東大法学部を卒業。16歳で「花ざかりの森」を発表し、天稟を注目される。戦後、「仮面の告白」で作家としての地位を確立。1970年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
61
三島由紀夫の政治関係の文章を集めた一冊。読んでいるとやたら『憂国』が見たくなって、鑑賞しつつ読む。収められているのは当時の政治談から自衛隊体験記、さらには決起当時の檄文まで、幅広く収録されている。読んでいて感じたのは如何に三島といえども当時の制約や思想から抜け出せなかったのかという感と、理念上の日本と現実との隔絶。後者は左右関係なく現在でも見られるから文化人特有の悪癖かなあ。ただ自分が三島を支持したいのは盾の会から決起まで、その断絶を埋めるべく足掻いた所かなあ。口だけの某教授を揶揄した所も面白いし。2025/01/20
Go Extreme
1
中心思想:近代化 西欧化への危機感 天皇を中心とした国体 伝統的精神性の擁護 行動主義 武士道精神 天皇:日本の伝統 文化 時間的連続性の象徴 国体の根源 文化防衛:西欧化による精神喪失への抵抗 「楯の会」活動による伝統文化復興希求 近代批判:ニヒリズム蔓延 ファシズム論 後進国論 占領憲法批判 行動と死生観:行動による真実把握 死の覚悟(葉隠) 自己犠牲 二・二六事件への共感 具体的提言:憲法改正(自主憲法制定 天皇の地位明確化) 民兵組織創設 結論:日本の本質的価値 現代での再生 行動による意思表明2025/04/18
O-chami
1
生きていれば100歳。16歳で「花ざかりの森」を発表した天才·三島、戦時下に17歳で書いた「大東亜戦に対する所感」〜45歳で自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決の折に撒いた「檄」文チラシまで、政治に纒わる文章を精選した初の政治論集の新刊。危うく鮮烈な思想、男子たる者の防国への想い、国の在り様、自らと世間·社会との乖離への焦り〜等々、僕らの父親世代のアイコンでありアイドルでもあった三島の、判るようで相容れない頑固·頑強な主張に、もの哀しささえ感じてしまいます。BGMは、美輪明宏の…「ヨイトマケの唄」〜「ペケ·ペケ」🎶2025/02/15
キー
1
破局と危機の時代にこそ「革命家」三島由紀夫が復活する。戦時下に書かれた「大東亜戦に対する所感」から、一九七〇年一一月二五日に撒かれた「檄」まで、政治をめぐる文章を精選。危うく鮮烈な思想の生成と軌跡をたどる、初の政治論集。2025/01/19
数太郎
0
文学者としては偉大だったかもしれないが、政治思想家としては「等身大」だったような…。 2025/04/19