内容説明
「私」と「先輩」の二人は、あらゆる世界、あらゆる形で出会い、別れ、あらゆる目に遭い、あらゆる物語になる―。これは、とびきり不穏でポップで不条理な掌編小説、「不純文学」。1ページであなたの心をかき乱す、250の物語。
目次
惑星直列
モールス
概念いぬ
ガラスの傘を持っている
いつかの傷渡り
スプートニク・フォーエヴァー
たかが百年のきみ
星間通信
HEART ever hurts
海は紅茶になりません
東の街には龍が出る
返送曲
天気予報は二度と見ない
シルエット
灰の残照
falling you
先立つもの
幸福な人間の日々
美しい右手をした私の先輩
惑うまで名無しの僕ら〔ほか〕
著者等紹介
斜線堂有紀[シャセンドウユウキ]
1993年、秋田県生まれ。2016年、『キネマ探偵カレイドミステリー』で第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞しデビュー。20年、『楽園とは探偵の不在なり』で第21回本格ミステリ大賞(小説部門)候補となったほか、各ミステリランキングにランクインし注目を集める。24年、『回樹』で第44回日本SF大賞最終候補、第45回吉川英治文学新人賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
41
「不純文学」とのサブタイトルにて喰いつく。僕の大好物の純文学を否定する文学?いや、逆に気になる。そもそも純文学の定義は?辞典では「大衆小説に対して『娯楽性』よりも『芸術性』に重きを置いている小説を総称する、日本文学における用語」とある。僕の勝手な独自判定基準は発問小説になっているかどうかだ。不発問小説なのかしらん?「不純」って単語に注目すると「純粋・純真でないこと。まじりけのあること。また、そのさま。『—な動機』『—異性交遊』」って事。ますます気になり読順変更して読む事に。2024/11/30
よっち
23
私と「先輩」はあらゆる世界、あらゆる形で出会い、あらゆる物語になる。1ページで心かき乱される、不可思議で不条理な掌編小説集。本書は著者が不純文学というタグを付けて投稿した掌編をまとめた1冊で、様々なシチュエーションの先輩と私の関係を、1ページで完結する掌編でひたすら続いていく構成。宝島社文庫の「不純文学」と一部掲載内容も被っているようですが、章題がなくなった分話数もぐっと増えていて、以前読んだそれよりも1ページに詰め込まれた密度が凝縮され、関係が変わっても変わらない先輩に対する想いをより強く感じました。2024/11/06
凛
16
前から気になっていたものの初読み作家さん。あらゆる世界、あらゆる形で必ず出逢う『先輩』と『私』の物語。なんかこの設定だけでもかなり心を惹かれました。250の掌編小説で、どの世界も奇抜で時にグロテスクなのに全体的にポップで、何だか癖になりそうな一冊でした。『私』の『先輩』を想う気持ちがぶれないのがいじらしい感じで読んでいて良かった。『海は紅茶になりません』『灰の残照』『先輩、私のミルクティー飲んだでしょう』が特に良かったかも。2024/11/30
遙
15
大好きな斜線堂作品。だけど今作においては頭がおかしくなりそうでした笑 先輩と後輩のあらゆる世界線を綴った1ページ完結、250の掌編作品。 歪で死が付き纏い、一緒に居られなくても常に一緒に居て、2人が何処かで同時に存在していればおさまるという不条理な世界。 例えばアニメなら週一で毎回違う場面にシチュエーションの2人で楽しめると思う。 でも一気読みにはなかなか根気を使うかもしれません。 文面やその1ページのクオリティは素晴らしい。 なのに頭おかしくなりそう。 新境地でした。やぶさかではないです。2024/11/10
うさぎや
4
様々な「先輩」と「私」の関係を描く掌編集。もはやなにがなにやら。でもクセになるこの感じ。2024/11/14