内容説明
気鋭のフォトグラファー立花海咲は色覚障害を伴う難病を発症。全てを失い失意のうちに「捨てた故郷」天草に帰る。後ろめたく再会する親友、恩師、家族…。天草は、島を出たあの日から何も変わっていなかった。亡き父の壮絶な事故死の真相を知り、頑なだった海咲の心が少しずつ氷解していく。色を失っていく彼女が見つけた「世界で一番美しい色」とは?巻末に俳優・渡辺謙の「文庫化に寄せて」掲載。
著者等紹介
源孝志[ミナモトタカシ]
1961年生。立命館大学卒業後CMやTVの制作を経て脚本家・監督に。「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」で2022年第77回文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門大賞。連続ドラマ「グレースの履歴」で第42回向田邦子賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y.yamabuki
21
NHKでドラマが始まってしまったので、慌てて読了。フォトグラファーの立花海咲は色覚障害を発症し、失意のうちに一度は捨てた故郷 天草を訪ねる。そこで友人、恩師、家族、と出会い自分をそして過去を取り戻していくストーリー。作者は脚本家、演出家でもあるので、天草の海や教会の風景を映像でも見てみたいと思わせてくれる。同作者原作のドラマ「グレースの履歴」(原作未読)が良かったので、今回はまず原作から。 2025/01/06
スミレ
14
「色彩のディーバ」と評されるフォトグラファーの立花海咲は眼の難病を患い、仕事を全て白紙にされてしまう。 失意の中、妹の結婚の知らせを受けた海咲は、ひとつのカメラを手に背を向けた故郷・天草へと足を向けることに。 懐かしい人達との再会。 亡くなった父の海難事故の真相を知り、義父のこと、母のこと、背を向け逃げ出したことに向き合っていきます。 何度も心打たれ、涙腺が弛みました。 色を表現している章題もとても素敵です。 2025/01/24
Ribes triste
13
天才的な色彩感覚をもつ写真家、立花海咲は進行性の色覚障害を発症する。そこに人づてに届けられた妹の結婚式の案内。そして突如発生した熊本震災。海咲は十六年前に捨てた母と妹が暮らす故郷の天草へと向かう。喪失と再生の物語はやさしく美しい。ほろりと泣かされました。2024/12/17
Ra
3
年明けからのNHKドラマの原作。主人公役に倉科カナを配したのはこれ以上ない完璧な采配だと思う。2024/12/28
Nori
2
'25.02、放送中のBSドラマが面白く手に取って読んだ。気鋭の女性フォトグラファー、色彩のディーバとして、第一線で活躍する海咲。その海咲の色彩感覚が突如として失われていく運命に晒される。捨て去った故郷、天草の地を16年ぶりに訪れる。作品内の色使い、その描写が鮮やかで見事。水面の煌めき、ステンドグラスの輝き、目に浮かぶ。カメラ、フレスコ画、コーヒー、食事、全てディテールが細やかで、作品に奥行きを与えているように感じた。ちゃんとホームがある人生、いいな。幼馴染の二人の行く末に、余白があるのもイイ。2025/02/16
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- 和書
- 古代王権と官僚制