内容説明
父の再婚で新しい母・瞳子さんと弟・晴彦と暮らすことになった、高校一年生のちぐさ。ある日自宅で晴彦がブラジャーを着けているところに遭遇。おしゃれだからブラが好きという彼を家族として「理解」しようとするが―?「ふつう」よりも「好き」を大切にしたい全ての人へ贈る、今最も読むべき青春小説!第二回氷室冴子青春文学賞大賞作。
著者等紹介
佐原ひかり[サハラヒカリ]
1992年兵庫県生まれ。大阪大学文学部卒。2017年「ままならないきみに」で第190回コバルト短編小説新人賞を受賞。19年「きみのゆくえに愛を手を」で第2回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞、21年同作を加筆・改題した『ブラザーズ・ブラジャー』で本格デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はっせー
48
めっちゃ良かった!朝井リョウ著『正欲』にも通じる話であった。父親の再婚で新しい母と弟と暮らすことになった主人公の女子高校生。弟がブラジャーを着けているところを見てしまう。とっさにトランスジェンダーかと思うと違った。おしゃれだからブラを着けるとのこと。そんな彼を理解しようとするが...あらすじとしてはこんな感じであろう。ここでは普通とは何か。正常とは何かというテーマが漂っている。三宅香帆さんの解説がめっちゃいい。服を着た言葉という表現がぴったりである。読めて良かった!2024/12/08
ゆみのすけ
26
文庫で再読。父親の再婚に伴い、突然できた弟。彼はブラジャーが好きな男の子だった!LGBTの問題ではなく、純粋にブラジャーのデザイン性を愛おしく感じている晴彦。姉として他人と違う弟を「受け入れてあげなきゃ」との上から目線の寛大さが晴彦をイラつかせぶつかり合う。友人、恋人、家族のと関係を円滑に維持していくためには自分の好きは我慢し、心に閉じ込め、他人に合わせなければならない。でも、それってとても息苦しくない?2人がお互いの思いをぶつけ合い、本心を見せ合い、家族になっていく過程が清々しく、心地いい。大好きな作品2025/04/06
よっち
25
これまでごくごく普通の高校生活を送ってきたちぐさ。そんな彼女が父の再婚で新しく弟になったブラが好きな晴彦と出会う家族小説。ある日自宅で晴彦がブラジャーを着けているところに遭遇。別にLGBTとかそういうわけでもなく、単におしゃれだからブラが好きという彼の思いを家族として「理解」しようとするちぐさ。優しく個人を尊重してくれる晴彦にちぐさは救われて、少し変わっている彼のことをどう位置づければいいのか戸惑いながらも、だんだんとその魅力に気づいていって、本音で語り合えるようになっていく関係がなかなか良かったですね。2024/11/26
のり
20
タイトルがもう、話の中身をネタバレさせてるけど、予想してたよりコミカルで明るい話だった。血のつながりのない姉弟が、互いに傷つきながらも徐々に信頼関係を築き、自分の親とのギクシャクした関係性も乗り越えながら、成長して行く。そして解説がまた今をときめく書評家、三宅香帆なのもアツイ!読みやすくてすぐ読めた。2025/05/18
桜もち 太郎
19
タイトルを見てコミカルな内容だと思ったけど、案外違っていた。父親が再婚し新しい母親と、弟になる中3の晴彦と暮らすことになった高1のちぐさ。年齢的に微妙な関係だ。そんなある日、晴彦がブラジャーをつけているところを見てしまうちぐさ。言い訳も何もしない晴彦の人間性、好きだからしようがないというある意味潔さを感じた。誰にだって性癖はあるが、晴彦の場合それとは少し違う感覚があるような気がした。物語はブラジャーがメインではなく、二人、両親、晴彦と元父親の人間関係がメイン。分かり合うことの大切さを言いたかったのかな。2025/06/01