内容説明
「閑さや岩にしみ入〓の声」「秋深き隣は何をする人ぞ」―俳句を和歌と同等の価値にまで高め「蕉風」を確立した俳諧の巨匠・松尾芭蕉。東北・北陸の各地を旅し、研ぎ澄まされた感性で綴られた夢幻的紀行「おくのほそ道」の新訳をはじめ、数々の名句から精選し、その文学的・詩的魅力を深く読み解く。人間存在の本質を突く十七文字の小宇宙に、現代の日本語で迫る最良の入門書。
目次
百句(波の花と雪もや水にかえり花;雲を根に富士は杉なりの茂かな;夏の月ごゆより出て赤坂や;秋来にけり耳をたづねて枕の風;行雲や犬の欠尿むらしぐれ ほか)
連句(「狂句こがらしの」の巻(冬の日)
「鳶の羽も」の巻(猿蓑))
著者等紹介
松浦寿輝[マツウラヒサキ]
1954年東京生まれ。詩人・小説家。東京大学名誉教授。2000年「花腐し」で芥川賞受賞。著書に『半島』(読売文学賞)、『川の光』、『エッフェル塔試論』(吉田秀和賞)、『折口信夫論』(三島由紀夫賞)、『明治の表象空間』(毎日芸術賞特別賞)、『afterward』(鮎川信夫賞)、『名誉と恍惚』(谷崎潤一郎賞・Bunkamuraドゥマゴ文学賞)、『人外』(野間文芸賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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百句: 波の花と雪もや水にかえり花 雲を根に富士は杉なりの茂かな 夏の月ごゆより出て赤坂や 秋来にけり耳をたづねて枕の風 行雲や犬の欠尿むらしぐれ 皿鉢もほのかに闇の宵涼み 風色やしどろに植ゑし庭の秋 この道や行人なしに秋の暮 この秋は何で年寄る雲に鳥 月澄むや狐こはがる児の供 秋深き隣は何をする人ぞ 旅に病んで夢は枯野をかけ廻る なに喰て小家は秋の柳陰 白芥子や時雨の花の咲きつらん わが宿は四角な影を窓の月 物言えば唇寒し秋の風 連句: 「狂句こがらしの」の巻(冬の日) 「鳶の羽も」の巻(猿蓑)2024/10/04