内容説明
平安のインテリ女性が好き放題につづったエッセイと思いきや、この簡潔な章段を荻野流に読みとくと、権謀術数うずまく宮廷世界で「美しさ」を手放すまいと懸命にあがいた一人の女性の姿が浮かび上がる。「みっともなく、みじめなこと」を忌み、「優雅」のなんたるかを忘れなかった清少納言の美意識から、私たちが学ぶことは多い。
目次
1章 省みる―いるいる“幼稚な”人…でも、本当に彼らを笑えますか(にくきもの―「だらしなさ」と「おおらかさ」は違う;ありがたきもの―「常識だろ」は、もはや通用しない;あぢきなきもの―「自分探し」は自立を遠ざけるばかり;なまめかしきもの―「場合によりけり」は、そんなに難しいか;ねたきもの―幼稚な心で使えば、便利なツールも“凶器”に)
2章 躾ける―“行儀わるい”ふるまいに慣れてしまっていませんか(人ばへするもの―子育ての要諦は、じつはシンプル;うつくしきもの―わが子は「うつくし」だけではないから愛しい;わろきもの―流行り言葉を無自覚に使う前に;したり顔なるもの―にわか成金の見苦しさとは;かたはらいたきもの―上司よ、酔余の醜態にご用心;言ひにくきもの―わが子の“不始末”を始末できない親)
3章 磨く―“意固地”になったまま、足踏みしていませんか(めでたきもの―「抜け道」を当然に思う恐ろしさ;つれづれなぐさむもの―意味もない無愛想は人を鬱屈させる;とりどころなきもの―生まれつき歪んでいる者などいない;うらやましきもの―オンリー・ワンになりたければ…;心もとなきもの―栄光に輝くプロは苦悩を背負う;昔おぼえて不用なるもの―老いゆく自分を、どう受け入れるか;すさまじきもの―どん底を味わったら立ち上がるだけ)
4章 交わる―“独り善がり”のつき合い方で他者を苦しめていませんか(いとほしげなきもの―同情心は「ややこしい」;心ゆくもの―「生」の手触りは、人と人との間にある;心づきなきもの―悪人ではないのに、嫌われる人;人にあなづらるるもの―「いじられる人」は幸いである;にげなきもの―一千年経っても交わらない二人;はづかしきもの―「あなた任せ」ゆえに、女は深読みする;たとしへなきもの―馴れても、なお「をとこ・をとめ」でいられるか)
5章 修める―“余裕がない”ために生き方が浅くなっていませんか(うれしきもの―死中にあって、いかに活を求めるか;胸つぶるるもの―人の心の奥行きに、思いを到らせたい;うちとくまじきもの―善と悪、幸と不幸は、運命で反転する;近くて遠きもの―最後に泣く者と笑う者の「差」とは;たのもしきもの―「実意の人」がいればこそ、人は生きられる)
著者等紹介
荻野文子[オギノアヤコ]
兵庫県西脇市生まれ。上智大学文学部国文科卒。1985年に予備校講師となり代々木ゼミナール、東進ハイスクールなどで「マドンナ先生」として人気を博す。現在、フリー講師として、自作の映像授業を学研プライムゼミにて配信している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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