内容説明
異色の心霊・怪奇実話の記録。医師を父に生まれ、ひとの生き死にに接してきた作家が、後年傾斜した心霊の世界の体験談。「放送局の幽霊」「自殺者の霊」「三度見た霊は実在する」「神かくし」「幽霊坂」「心霊写真」「霊界夜話」など、胸奥に惻々と迫る傑作揃い。まざまざと視た人ならではの、恐怖の世界。
目次
亀井霊媒の実験
放送局の幽霊
自殺者の霊
三度見た霊は実在する
神かくし
森島左近の霊
幽霊坂
弟三郎との霊話
燈籠
散華
舞妓春菊
見えぬ客
無目的の霊
おかよ婆さん
白い人影
浄源霊
心霊写真
亡父の姿
巡礼の霊
ぽんた〔ほか〕
著者等紹介
長田幹彦[ナガタミキヒコ]
1887年、東京府生まれ。作家、作詞家。『明星』『スバル』の同人を経て、北海道を旅役者の一座に入るなどして放浪、その体験談を発表し、人気作家に。早稲田大学英文科を卒業の後、耽美的作風で、“幹彦潤一郎”と並称された。「金色夜叉」を書き継ぎ、祇園物の情話小説で一世風靡。作詞家としては、「祇園小唄」「島の娘」「天竜下れば」などを残す。戦後は心霊学に関心を示し、「超心理現象研究会」を主宰。1964年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いなお
2
最近暑いので……と思って読んだが、幽霊が見えるという作者のエッセイで、怖いというより悲しみを感じる本だった2024/07/14
maririn
1
明治~戦後まで現代とは趣の違う心霊実話が、淡々と微細に描写され興味深い。 客観的で暖味のある文体の為、凄惨さを感じない。 無邪気な亡弟との対話に胸がつまり、私が大好きな落語「立ちぎれ線香」を彷彿とさせる舞妓の話が心に染み、想像以上に面白かった。2024/06/17
gibbelin
1
視る人、というか、交流するし、修業も積みかけたひと。 「さて、ひるがえってはるかにわれわれの育った明治時代なるものをふりかえってみる。」からはじまる名文は、たしかに文学者の面目である(通り魔…)。 落語『たちぎれ線香』を彷彿させるエピソードもある。 まだまあ私も昭和のころは、虫の知らせなり、夢に死者に会うといったことをこのように地続きな感覚でいたと思うのだが、令和の私は、神経の作用と考えているなり、フィクションとして楽しんでいる的な態度をとってしまっていて、神様スマンとか思う。2024/06/10
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