内容説明
平安中期、一条天皇の中宮定子に仕えた清少納言が、宮中での日々を綴った『枕草子』は、日本を代表する随筆文学。英知とユーモアに満ちたその筆致は、平安と現代の間に橋をかける。『枕草子REMIX』で、すでに清少納言への深い共感を綴ったエッセイストならではの、エスプリの効いた自然な現代語訳が楽しい。全二巻。上巻は一段から一四二段まで。
目次
春は、夜明けが好き。
季節は、正月、三月…
正月一日は、特別。
三月三日のお節供は…
四月の賀茂祭の頃は…
同じ言葉であっても…
愛する子供を僧にした親というのは…
中宮職の三等官である大進の平生昌の家に…
帝のお側にお仕えする“御猫”は…
正月一日、三月三日は…
任官の御礼を帝に申し上げる姿は…
仮の内裏である一条院の東を…
山は小倉山、鹿背山、三笠山。
市は辰の市。
峰はゆづるはの峰。
原は瓶の原、朝の原、園原。
淵は賢淵は…
海は湖、与謝の海、かわふちの海。
陵は小栗栖の陵、柏木の陵、あめの陵。
渡はしかすがの渡、こりずまの渡、水はしの渡。〔ほか〕
著者等紹介
酒井順子[サカイジュンコ]
1966年東京生まれ。高校時代より雑誌オリーブ」に寄稿し、大学卒業後、広告会社勤務を経てエッセイ執筆に専念。2003年に刊行した『負け犬の遠吠え』がベストセラーとなり、講談社エッセイ賞、婦人公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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旅するランナー
182
意識高い系インフルエンサーによる情報発信。知識自慢、中宮様崇拝、好き嫌い。現代なら炎上しそうな内容もあって、そこが平安の世で結構受けたんじゃないでしようか。大河ドラマ「光る君へ」の登場人物、藤原道長(柄本佑)、道隆(井浦新)、宣孝(佐々木蔵之介)、伊周(三浦翔平)、隆家(竜星涼)、斉信(金田哲)たちも出てきて、清少納言目線でのエピソード·コメントが楽しめます。そういう意味では、読み直すベストタイミングです。2024/11/02
あきぽん
40
「光る君へ」によれば中関白家の没落後、失意の定子を慰めるために書いたそうだけど、これは大勢の読者からいいね!をもらうために書いたソーシャルメディアのようだ。ルッキズムなどマスメディアでは放送禁止なことも書いてるし、平安貴族を身近に感じる。辛い現実を吹き飛ばすように読者を楽しませることに徹しつつ、自己アピールも怠っていないのはさすがの清少納言姉さん。ネガティブなことは書かないようにしているのもSNSっぽい。2025/05/27
コニコ@共楽
20
『源氏物語』を読み、他の平安ものも読んでみたくなりました。”春は曙”で始まる枕草子は、誰も古文の時間に見聞きしたもの。清少納言がどんなものを書いて今まで読まれてきたのか、当時のブログの様な物といわれる「枕草子」を酒井順子さんの現代訳で読んでみました。文庫2冊の分量で、上巻は一段から百四十二段まで。中宮、定子に仕え、華やかな生活とちょっとした自慢、失敗なども面白く書かれていました。驚いたのは、清少納言が和歌を詠まないこと。当時の人々には、和歌でなく、率直な文で綴った日常が斬新だったのでしょう。下巻へ。2024/09/19
あっきー
16
⭐3 先日桃尻語訳で上巻八二章までまで読んだのでキリ良く同じ所まで読む、所どころ分かりにくいところはあっても細かいことはスルーして読んだが、現代語訳の美しさや折々の季節の情景と王朝文化の雰囲気も感じられ、本来それを味わうものなのかもしれないなと改めて思え良かった、残りはオイオイだ2025/04/27
犬都歩
7
紫式部が清少納言を嫌ってたというのは知ってたけど、こうして通読してみると、紫式部の気持ちもちょっと分かるかも……。とりあえず清少納言は不細工と太ってる人と色黒と貧乏人が嫌いなんだな。「春はあけぼの」に代表される通り、いいことも悪いことも言語化するのが確かにとても巧いんだけど、それにしても「不細工な女とガリヒョロな男は昼寝するな、見苦しいから」(意訳)とか、「貧乏人の家には雪が降るのも月の光が差し込むのももったいない」とか、そこまで言うかのオンパレード。とはいえ、要所要所に見え隠れする瑞々しい感性はさすが。2024/08/09