内容説明
人類初の植民惑星、通称、二番街。アンドロイドが主な顧客の新星金融で債権回収を担当するぼくと、上司のユーセフ。この男、普段はいい加減で最悪なのに、たまに大得点をあげて挽回する。貧乏クジを引かされるのはいつだってぼくだ…宇宙から地獄まで、きょうも取り立て屋コンビが駆ける!超絶娯楽SF。
著者等紹介
宮内悠介[ミヤウチユウスケ]
1979年、東京都生まれ。作家。早稲田大学第一文学部卒。2010年に短編「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞選考委員特別賞(山田正紀賞)を受賞し、デビュー。連作短編集『盤上の夜』で第33回日本SF大賞、2013年に第6回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞、『ヨハネスブルグの天使たち』で第34回日本SF大賞特別賞、『彼女がエスパーだったころ』で第38回吉川英治文学新人賞、『カブールの園』で第30回三島由紀夫賞、『あとは野となれ大和撫子』で第49回星雲賞日本長編部門、『遠い他国でひょんと死ぬるや』で第70回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
43
闇金×SF。SFアンソロジー「NOVA」掲載作品をまとめた連作短編。主人公の”ぼく”が、悪魔のような上司ユーセフと共に債務者から貸した金を回収する日々を描く作品となっていて、ここから普通ではないのが本作がSF小説だということ。銀河の入植地を拠点とする彼ら新星金融の主な顧客はアンドロイド、そしてたとえ核融合炉の中だろうと取り立てに行くという社訓まである。実際彼らは人工知能の潜むダークウェブにまで出向いたりしている。毎度ユニークな取り立て手段と彼ら凸凹コンビの活躍はまるで喜劇や漫才を見ているかのようでした。2024/03/19
そふぃあ
22
発売を楽しみにしていた本。相手が何処にいようが、アンドロイドや人外や植物だろうが、何としても金を取り立てて回る二人組の物語。基本面白可笑しいのだがギャグとシリアスの塩梅が良い。アンドロイド周りの設定がしっかりしていてSFとしても読み応えがある。好きなのは「スペース珊瑚礁」。脳内に語りかけてくるミトコンドリアが面白くて可愛い。このゲーム、白菜の玉があるなら角煮の玉もあるのだろうか?などと思った。数年前台湾の故宮博物院に行ったとき白菜の玉が他国に貸出中で、自分の中でも幻の白菜になってしまったことを思い出した。2024/05/19
Porco
18
ブラックな”街(マチ)キン”の取り立て2人組が主役のSF連作。ドツキ漫才のような主役2人の掛け合いや、刑事が逮捕する時に述べるような企業理念の決め台詞といいとっつきやすい話をする中で、タイトルにもある金融工学や登場するアンドロイドたちを取り巻く状況はかなりハードSFらしい。内臓をギャンブルの担保にされたり、ネットのおもちゃにされたり可愛そうな目に合う”ぼく”がかなり優秀そうなプログラマで度々活躍する場面もあり、単なるユーセフの被害者で終わらず彼自身も「たまにいいことをして挽回するやつ」なのも面白い。2024/07/14
ふりや
17
ずっと読もうと思っていた作品が文庫化されたので嬉しい!さっそく購入しました。宇宙を股にかける金融会社に勤める「ぼく」と上司のユーセフ。相手が人間であろうが植物であろうがアンドロイドであろうが金を貸し、返済が少しでも遅れれば(文字通り)地獄の底まで取り立てに行く。一見ドタバタコメディのようですが、連作短編になっている5篇を読むとしっかりとSFであり、あるシリアスなテーマを内包していることが分かります。とは言ってもエンタメとして非常に楽しく読める作品で、さすが宮内悠介!と言いたくなるクオリティの高さです。2024/04/18
田氏
13
本当にありそうで本当に無い宇宙的金融工学と、人工知能における社会理論と、プログラム論理と、バディものアクションエンタメを、不条理で包み焼きにした何か。つまり汚いほうの宮内悠介である。作中ではアンドロイドの精神や社会の変遷が描かれているが、むしろ人間のほうが変質してないかこの未来、と思わされる節もある。ちなみに小川哲が言うに「宮内悠介は『豆腐SF特集』『重機ミステリ特集』などの訳の分からない仕事を流し込んで疲弊させると倒せる」らしいが、本作を読む限り、それくらいの仕事は軽々とやってのけるのではないだろうか。2025/07/18
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