内容説明
「耳なし芳一の話」「雪女」「貉」「轆轤首」…日本の民話をもとにして、あまりにも有名な怪談・奇談の数々を生み出した小泉八雲=ラフカディオ・ハーン。その再話文学を収めた代表的な作品集『怪談』『骨董』を、「昆虫の研究」「夢を食らうもの」などのエッセイまで含めてハーン研究の第一人者による完訳でおくる決定版。
著者等紹介
小泉八雲[コイズミヤクモ]
1850年、ギリシャ生まれのイギリス人。作家、英文学者。本名、ラフカディオ・ハーン(Lafcadio Hearn)。19歳で単身渡米し、ジャーナリストとして活躍。90年、ハーパー社の通信員として来日し、翌年、松江の小泉節子と結婚。96年、日本に帰化。松江中学、第五高等学校、東京帝大などで英文学を講じながら、欧米に日本を紹介する著書を数多く刊行。1904年、死去
平川〓弘[ヒラカワスケヒロ]
1931年、東京生まれ。東京大学名誉教授(比較文学比較文化)。『東の橘西のオレンジ』でサントリー学芸賞、『ラフカディオ・ハーン』で和辻哲郎文化賞、『西洋人の神道観』で蓮如賞、マンゾーニ『いいなづけ』の翻訳で読売文学賞・日本翻訳出版文化賞受賞。紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翠埜もぐら
22
昆虫や摩訶不思議なおはなし随筆集。子供の頃は八雲さんが日本語で書いた話かと思っていましたが英語で書いた本を翻訳したと言うことで、でもご本人の日本語での語り口を知りたいなぁ。しかし英文をどう解釈したのかとか原典などの大変詳しい訳注がついていて、短編集というよりまるで研究書。逆に英語版にもちょっと興味が(英語苦手なんですが) 話としては「茶碗の中」が昔から好きで、茶碗の中に勝手に現れておいて飲まれたから怒るって、何という理不尽。そしてそこで話が終わってしまうって何という中途半端。この中途半端さが楽しいわ。2024/05/02
Porco
15
童話を再発掘したディズニーのように、日本古来の創作怪談奇談を再発掘し八雲式【雪女】,【耳なし芳一】として、日本の古の怪談と言えばというレベルまで定着させた小泉八雲の『怪談』。異文化圏から帰化までしてここまで誠意と理解をもって当時紹介してくれたことに、読んでいて改めて感嘆の念が湧く。 (昨年、表沙汰になり物議を醸した弥助に関する騒動を思うと特に…) (1/2)2025/01/11
まさ☆( ^ω^ )♬
13
幼少の頃から馴染みのある怪談。ここに来てちゃんと読んでみたいと思っていたところに、最新の翻訳という事で飛びつきました。怪談だけではなく、昆虫を題材にした随筆や、エッセイ的なものまで、代表的な作品が収められているという事で初めて読むには丁度良いのではないかと感じた。期待していた以上に面白かった。ホラーとは違う、日本の怪談の湿度を感じる怖さが好きですねぇ。2024/02/28
うさぎや
6
改めて読んでなるほどな、と。「轆轤首」、首が伸びるんじゃなくて首が外れて飛んでいくのか……その方がこわいな……2024/12/10
銀華
6
『耳なし芳一』『雪女』で知られている小泉八雲の物語と随筆集。怪談を読みたくて手を出したがエッセイ集でもあって、中々読み応えがあった。民話や昆虫に宗教のこと、そのルーツも辿り、粒子単位の世界まで達し、日本人の感性を異邦人の目線で説明している上、翻訳した研究家による四十頁以上の膨大な脚注もあるので研究書でもある。怪談の場所や時期も明確になっている部分もあり、そういうものが実際に在ったとして語られ続けていたのだと奥さんの語りで思ったのかと。日本人として、言語化してくれる彼の話をもう少し耳を傾けたくなりました。2024/07/18