内容説明
しっかりものの芸者・米八、置屋の美しい一人娘・お長、二人に愛される若旦那・丹次郎―。優柔不断な美男子と芸者たちの恋愛模様を描き、江戸期の人情本を代表するベストセラーとなった『春色梅児誉美』。新訳にあたり登場人物を一人称で編み直し、気っ風のいい女たちの連帯を生き生きと描くエンタメ長編!
著者等紹介
島本理生[シマモトリオ]
1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で群像新人文学賞優秀作、03年「リトル・バイ・リトル」で野間文芸新人賞、15年『Red』で島清恋愛文学賞、18年『ファーストラヴ』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さてさて
120
米八の丹次郎への思い、一方で米八の存在を気に病む お長の思いが”三角関係”として描かれていくお江戸のベストセラー”人情本”の現代語訳であるこの作品。そこには現代のベストセラー作家である島本さんだからこそ描くことのできた現代の「春色梅児誉美」の姿がありました。カジュアル訳に徹した島本さんの読みやすい筆致に驚くこの作品。物語に浮かび上がる200年前の恋模様に人の心の有り様が何も変わらないことにも気付くこの作品。200年前のお江戸の人々の気持ちに少しだけ近づいたような読後感、とてもよくできた作品だと思いました。2024/04/18
巨峰
46
江戸時代の人情本。為永春水作のにゃんと島本理生様による現代語訳。雰囲気はタイトルのイラスト通りで、会話が結構でてきておしゃれ。色と芸がたくさん。丹次郎が持てるのはよくわからないけど、経済力はなくても、顔がよくて一芸はあるんだよなぁ。女性陣のたくましさが印象に残ります。お嬢さんのお長さん、すごく頑張ったよね!!2025/01/27
ジュール
8
島本さんだから読んだが、古典の現代語訳は難しい。全体の筋がヨミニクイ。頼りない放蕩ものの丹次郎、キップの良い芸者の米八、お嬢様 のお長、この三角関係を基本に色々な絡み。最後は悪人の番頭が放逐されめでたしめでたし。だがここの文正が分かりにくく残念。 2025/02/26
ほんどてん
7
「作者である為永春水は、天保時代の小説家…当時のいわゆるベストセラー作家」「江戸時代の読者を虜にした本作は紛れもない一級のエンターテインメント小説」と、訳者の島本理生さんのあとがきにあります。訳によって私は古典文学は途中で わからなくなる事があるのですが、本作は本当にわかり易く、物語も最後までワクワクしながら楽しむことが出来ました。古典の現代語訳がこんなに面白いと思えたことも嬉しかったです。2025/05/20
にゃんこ
5
かわいい表紙にワクワク。江戸時代の話題作に親しめるなんて、現代語訳ありがたいです。河出文庫に古典新訳シリーズがあるんですね。他も読みたい。興味深いけど、心動かされるほどではないんだよな〜という古典との距離感を、かなり縮めてくれました。美男の丹次郎が「さんきゅ」とか言うんですよ。照2024/06/11