内容説明
座談の名手・昭和の大名人古今亭志ん生師匠の話芸の魅力を一冊に。貧乏長屋、酒の武勇伝、廓の艶話、旅の思い出、子どもたち…そして極め付け、人情味溢れる落語芸談。「語録」「柳句」「芸談」「ある年越し」「飲まば焼酎・死なば卒中」「やりてぇほうだい」「こうなりゃ九十まで生きる」など大増補。
目次
語り(将棋で徹夜;実用むき―妻を語る;天狗の告白―川柳の巻 ほか)
対談(古今亭志ん生の巻―徳川夢声と;笑わせたがらぬ笑いの名人―竹山恒寿と;かたい話やわらかい話―福田蘭童と;とかく浮世というものは……―青木一雄と;おしゃべり道中―大宅壮一と)
増補(志ん生柳句;志ん生語録;志ん生芸談―聞き書き・須田栄 ほか)
著者等紹介
古今亭志ん生[ココンテイシンショウ]
1890年、神田生まれ。落語家。三遊亭朝太として前座をつとめ、金原亭馬きんで真打昇進。1937年、五代目古今亭志ん生となる。太平洋戦争末期は、三遊亭円生と旧満州に渡った。1956年、「お直し」で芸術祭賞受賞。1957年、落語協会会長に就任。紫綬褒章、勲四等瑞宝章受章。金原亭馬生、古今亭志ん朝の父。1973年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tatsuo Ohtaka
6
「昭和の大名人」が自身や落語のことなどを縦横無尽に語り尽くす。文庫化に際して90ページ近く増補された。江戸前のしゃべりを生かした一部の章が秀逸。川柳が得意だった師匠の「志ん生柳句」より、お気に入りをひとつ。「ハナうたは忘れたとこがしまいなり」。2023/11/10
Fumoh
2
志ん生の芸談をまとめている。志ん生の芸に向かう姿勢や、江戸っ子風の生き方が描かれている。昭和初期のナメクジ長屋の話や、酒と吉原に夢中だったころの話がメインで、時おり現代の文化の質問もされているが、受け答えの仕方は軽く、「今は今でいい」と回顧主義的でないところが気に入った。芸の達人であるはずだが、達人らしい頑固なところがなく、話も客観的で一本筋も通っている。女遊びは(というか、昔の吉原は文化的サロンのようなものだったように見える)現代では話題の取り上げ方が難しいが、男女の恋の話が気軽にできる場所として、2023/12/12
のじ
1
芸の話はあんまり出てこないかな。生きてきた中でのいろんなエピソードをとりとめもなく話していて、聞き手が違うから同じエピソードが出てくることもある。こういう生き方からああいう芸が出てきたのかな。昔は文楽のほうが好きだったけどだんだん志ん生のほうが好きになってきた。時代が違うけれど、生で聞いてみたかったなあ。2024/03/04
kaz
1
さすが志ん生と言うべきか。いろいろな対談で同じ出来事を話しているが、展開がかなり異なるものも。おそらくウソをついているつもりはなく、伸縮自在の高座と同じく、時と場合によって誇張と省略を使い分けているのだろう。最初の師匠、ナメクジがかみついた状況、蚊帳の話、はたして実際はどうだったのか。徳川夢声の「民族の運命に関するというほどの問題でもあるまい」というのは、言い得て妙。暇つぶしにはありがたい。2024/01/01
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