内容説明
七歳にして女を口説き、六十歳に至るまで色事にかまけたおした伝説の色好み・世之介の生涯を描いた「好色一代男」。破天荒な男たちによるお遊び満載の珍道中は爆笑必至!井原西鶴が生み出した江戸の浮世草子の名作が、島田雅彦の現代語訳によって鮮やかに息を吹き返す。
著者等紹介
島田雅彦[シマダマサヒコ]
1961年東京都生まれ。83年「優しいサヨクのための嬉遊曲」でデビュー。84年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、92年『彼岸先生』で泉鏡花文学賞、2006年『退廃姉妹』で伊藤整文学賞、2008年『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞、2016年『虚人の星』で毎日出版文化賞、2020年『君が異端だった頃』で読売文学賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おの
11
「伝説のパリピ」という帯に惹かれ本屋でふと手に取り。うーん、パリピ!女から見るとくそ野郎なんだが、どうも憎めない。吉野太夫の話はいい話と思いきや、次の話はもう別の女の話。現代語訳でも読むのきつかったので、訳されなければ読まなかったであろう。訳者の島田さんに感謝。2023/11/12
Fumoh
4
好色一代男を現代語訳してくださった、島田雅彦先生。これは非常に面白いし、かなり読みやすい。当時の通貨価値を、現代の円に換算してくださっているのが、面白いしありがたい。好色一代男は天下の色男の行状をつづった物語という特徴のほかに、江戸時代の色町の風俗をこと細かに叙述した、文化考としても名高い。いったいどこに、どれだけ金がかけられたのか、それが分かるのは面白い。作品の出来は周知のことながら、改めて考えてみると、このような放蕩に一生を費やした変態男の物語が、こんなにも長い間読み継がれているのは、理由がある。2023/12/11
nyanlay
3
イマイチ情報ない中図書館から拝借。あとから、現代風の書き直し?と知った。っていうか井原西鶴の作品すら知らずにきた教養のない人間。わかってから面白さを知りました。2024/07/19
もりひら
3
古典独特の唐突に別の話になって繋がりがわからない場面や、言い回しの意味がわからず理解できない部分が多い。当時の文化や風習がわかれば楽しめるのかもしれないけど、その深追いまでの解釈は訳されてなく、今回はただ現代語訳しました感。これなら大学生でもできそう。ただ、現代語訳でもこれだけ読むのが苦痛だったのだから、原文はなおさら読む機会はなさそう。訳者も書いてるとおり、なんのことを言ってるのか、誰が言ってるのかちんぷんかんぷんなものをよく訳してくれたと思う。こういう機会がないと読まなかったのでまぁ良かったかと思う。2024/02/06
ゆかり
3
あとがきの「世之介にはひたすら無茶なカネの使い方をさせるわりに、作者の井原西鶴はカネの計算が細かい。まるで帳簿をつけているみたいに律儀に、世之介の愚行にいくらかかったかを書き記している。」が面白くて思わず吹き出しちゃった。作中の金額が全部現代の金額に換算されていて分かりやすかったです。2023/12/17