出版社内容情報
エドガー・H・シャインは、組織心理学という分野を開拓し、経営学の世界に大きなインパクトを与えた。その業績は大きく3つに分類できる。キャリア論(『キャリア・アンカー』[小社刊]など)、援助論(『プロセス・コンサルテーション』[小社刊]、『人を助けるとはどういうことか』[英治出版刊]など)、そして、本書『組織文化とリーダーシップ』に代表される組織文化論である。
本書では、世界有数の企業のコンサルタントとしての経験を通じて培われた知見から、組織における「文化」と「リーダーシップ」のダイナミズムをあますところなく描いており、数多のケースから文化創造とマネジメントのプロセスが読み解かれる。
本書は大きく4部構成になっている。文化分析の基礎となる「文化の構造」を捉える視点の学びを皮切りに、昨今その重要度を増している「マクロカルチャー」が組織に与える様々な影響に目配りしながら、組織の成長段階ごとの状況やリーダーの影響も考慮して「文化の進化」がもたらすダイナミズムの本質を理解し、「文化の変革の実践」へと進んでいく流れである。
今回訳出された第5版では、息子であるピーター・シャインにも執筆協力を仰ぎ、近年著しいグローバル化や DX 化に伴う組織の変化、ミレニアル世代以降特有の価値観などを踏まえた議論が展開されている。同時に、昨今流行している文化の定量的/定性的な測定・評価ツールの検討もあり、時代に即した改訂となっている。また、これまでの理論がすっきりとまとめられ、各章に読者へのアドバイス・問いかけが加わったことで、より理解しやすい構成となっている。さらに、全編にわたってマクロカルチャーや文化とリーダーシップの関係性に関する洞察がなされ、自身の内なる文化を知る重要性も示されている。
2023年に逝去されたシャイン教授が生涯をかけて追究してきた組織文化研究の集大成であり、「文化」理解の指針となる不朽の名著である。
内容説明
文化創造とマネジメントのプロセスを読み解く、シャイン博士の「組織文化論」集大成。組織において、文化はいかに生まれ、進化し、意味づけられていくのか。組織が成長・成熟していくなかで、文化はどのように役立ち、ときに妨げになるのか。リーダーが文化の醸成・変革に果たす役割とはどのようなものなのか。
目次
第1部 文化構造を定義する(文化の一般的な定義;文化の構造;創業間もない成長著しい米国エンジニアリング企業;成熟したスイスドイツ語圏の化学メーカー;シンガポールの開発政府機関)
第2部 リーダーがマクロカルチャーについて知っておくべきこと(マクロカルチャーが生じる文脈の次元;マクロカルチャーに焦点を当てた取り組み)
第3部 成長段階における文化とリーダーシップ(文化の誕生と創業者の役割;どのようにして外部適応と内部統合は文化となるのか;リーダーはどのようにして文化を定着させ、伝えるのか;組織の成長、成熟、衰退に関わる文化のダイナミクス;文化の自然進化と誘導された進化)
第4部 文化を評価し、計画的変革を導く(文化を解読する;診断型定量的アプローチによる文化の評価と組織変革プログラム;対話型定性的アプローチによる文化の評価プロセス;変革マネジメントのモデルと変革リーダー;学習者としての変革リーダー)
著者等紹介
宇田理[ウダオサム]
青山学院大学経営学部教授、神戸大学経済経営研究所リサーチ・フェロー。専門:経営史、経営学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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