内容説明
元特攻隊員と老右翼理論家との対峙を通して、日本民族にとっての不可避の主題「死の哲学」を究明した衝撃作「散華」の他に、初期詩篇・初期小説・未完作・習作、さらに「散華」をめぐる埴谷雄高との往復書簡などを収録。高橋和巳の人と文学の原点を明かす愛読者必読の巻。
感想・レビュー
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pyonko
5
"サンカ"ではなく"サンゲ"だった。 読み終わってから言葉の意味を知り、なるほどと思う。2015/10/15
桜井晴也
2
「だが一つだけ本当のことを言おう。子供たちよ。勇気はいつも独りだけのものだ。誰か仲間があらわれればその仲間を殺せ。悲哀のゆえに殺しえねばせめて逃げよ。鮎のひるがえる川原にも、風は吹き、病院の窓から風船が漂うのは見えることはある。歓楽が竹久夢二の絵をまねて描く娼婦の筆と、その筆をしめす薄い影像にすぎず、青春が破廉恥な牢獄と、その牢獄の中で死んでいった一匹の蝶にすぎなくとも、いま、君たちは手をつないではならぬ。」2012/05/31