内容説明
「男がいた。元服したばかりの男だった」。流麗な和歌とともに語られる、恋と友情、そして別離―。平安初期の仮名文学を代表する傑作として名高い歌物語集が、作家・川上弘美による新訳で瑞々しくよみがえる。在原業平とされる貴公子を中心にした百二十五段の恋物語。
著者等紹介
川上弘美[カワカミヒロミ]
1958年東京都生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短篇文学新人賞を受賞してデビュー。96年『蛇を踏む』で芥川賞、99年『神様』でドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞、女流文学賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『水声』で読売文学賞、16年『大きな鳥にさらわれないよう』で泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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クプクプ
76
川上弘美さんが依頼されて、初めて古典の訳に挑戦された話。私は歴史に疎いのですが、時代は、都が京都にはまだなく、奈良だった時代でしょうか。解説に「東下り」という表現が出てきました。奈良や京都から、武蔵の国を目指す、ということが当時、行われていたそうです。和歌の持つ力が、男女の恋愛を切なく描いていました。川上弘美さんの書き方として、和歌を書いて、その後に現代語訳を書く、という方法が成功していました。私のような古典初心者に向いている作品でした。川上弘美さんの「三度目の恋」も伊勢物語に関係しているので読まねば。2025/01/01
巨峰
40
なんとか読了。短い本文と、その核心は和歌が担当する。最近は河出文庫の現代語訳の古典シリーズを読んでいるけれど、この物語については原文+現代語訳で読んだ方がいいかもしれないなと思いました。和歌の部分の訳はいまいちかも。せめて元の和歌と1行開けてくれたらよいのに。川上弘美さんは散文の人ですね、、、2024/11/26
kieth文
25
“三度目の恋“を読むにあたり、川上弘美さんがyou tubeで“伊勢物語“を読んでからの方がより楽しめると言ってらしたので、恐る恐る手に取ったのだけれど、和歌は川上弘美さんの解説がわかりやすくてなんとか入り込むことが出来た。男と女のさまざま恋愛模様。身分の違いなど恋路を阻むものはあるけれど、どこか奔放な恋愛事情も垣間見えて面白かった。さて次は“三度目の恋“を読みます。2023/10/13
TSUBASA
23
九世紀後半ごろに在原業平が手掛けたとされる百二十五段からなる歌物語。学校で習った筒井筒や芥川なんかは覚えていたけど、全編通して和歌と短い散文で綴られた作品だったのですね。説明が本当に少なくて物語としては極めて淡泊(そのあたりは川上弘美の文体にぴったりしてるのかも)だったけど、和歌の掛詞や言葉遣いをじっくり味わってこそ深みがあるのだと訳者解説で知って成程と思った。けども文庫版あとがきでは説明なさ過ぎてよくわからんという結論に変遷してて正直でよろしい(笑)。気に入ったのは浮気性な男女がお互いなじりあう五十段。2023/12/03
双海(ふたみ)
18
作家・川上弘美が、平安初期の名作『伊勢物語』を新訳。流麗な和歌と共に描かれる、125段のめくるめく恋物語。和歌は原文とともに大胆な現代語訳を付す。かなり好きな訳文で満足。伊勢物語、いいよね。2023/10/07
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