内容説明
トルコ東部ワン湖に棲むといわれる巨大生物ジャナワール。果たしてそれは実在するのか?目撃情報が多発する村・インキョイに辿り着くと、イスラム原理主義とクルド問題に絡む陰謀がジャナワールに関係していることが明らかに。やはりフェイクだったのか…落胆した一行が湖を眺めると、湖面に謎の巨大な物体が現れて!?興奮と笑いが渦巻く傑作ノンフィクション。
目次
第1章 驚きのUMA先進国トルコ(フェイクか本物か…それが問題だ;奇縁の旅はじまる ほか)
第2章 ジャナ、未知の未知動物に昇格(ワン到着;コザック映像の真実 ほか)
第3章 天国の湖(湖一周調査の旅出発;映像の村 ほか)
第4章 謎の物体を追え!(謎の物体、発見!;立場大逆転 ほか)
著者等紹介
高野秀行[タカノヒデユキ]
1966年、東京都生まれ。ノンフィクション作家。ポリシーは「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」。『幻獣ムベンべを追え』でデビュー。『ワセダ三畳青春記』で酒飲み書店員大賞、『謎の独立国家ソマリランド』で講談社ノンフィクション賞等を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
61
2015年に既に読んでいた『怪獣記』を改題したものだった。しかし、既読感がなく楽しめた。単に忘れていただけだが……。本書のカバー写真は、結末を読むとジワジワ面白さを感じる。著者が偶然新婚旅行で訪れたワン湖。そこで目撃されたというジャナワールを追って、高野、末澤、森トリオが、現地ガイド・エンギンとドライバー兼ジャーナリスト・イヒサンと共に怪獣調査をした。トルコの政治問題、特にクルド人問題のリポートも興味深い。だが、白眉はワン湖南岸で謎の物体を目撃したことだろう。解説が調査に同行した末澤くん。これも良かった。2024/05/08
Sam
54
最近追いかけてるこの著者、今回は「怪獣を巡る冒険」である。いい大人が怪獣を追いかけてトルコまで出かけていくという、なんともアホらしいというか羨ましい、著者ならではの探検記。ただでさえ面白いのになんと(たぶん)当のUMAに出くわしてしまうという、稀有の体験までしているところがまたすごい。2023/10/12
読特
50
もしも近所にUMA(未確認不思議動物)なるものの噂があって、大学助手が映像を撮影し、指導教授と共著で本を出し、目撃者の個人情報を掲載したならば?はるばる遠国から探検家が真相を確かめに訪れたら、思わず吹き出して警戒を解いたりするだろうか?向こうの国の雑誌の名前を一字だけ間違ったりするだろうか?…笑いなしには読み進められない。フェイクと決めつけてると後で痛い目に遭う。日本にいては理解し難いクルド問題も肩肘張らずに学べる。琵琶湖の数倍のワン湖。子供用ゴムボートでの湖面探索。同船させられた陸ガメのご冥福を祈りたい2023/11/23
まさ
25
『怪獣記』の復刻版ですね。久しぶりの再読だけど、やっぱりおもしろい。現地での聞き込みで各地で失笑されながらも、高野氏らしい真面目な向き合い方は村々の人たちにも受け入れられていく。その様は他の作品でも通じることだけど、脱帽の行動力とコミ力です。そして、当事者になったときの見え方!実際そういう行動なり思考になるのだろうな。2024/02/13
活字スキー
24
そういや辺境作家としての高野さんのルーツはUMA探索だったっけ、と思いながら久しぶりのエンタメノンフ改め高野流マジックリアリズム・ノンフィクションは期待を裏切らない面白さだった。トルコ東部のワン湖に現れたというUMA界の新星ジャナワールの探索は2006年のこと。明らかにチープなフェイクとしか思えない第一印象から旅は始まるが、現地に赴き取材を続けてゆくうちに次々とその印象は塗り替えられ、不可思議さが増してゆく。2023/10/10