出版社内容情報
出産直後に母に捨てられた那智と、父に捨てられた理緒。時を経て、母になった那智と、ライターとして活躍する理緒が出会う時、至高の恋が燃え上がる。『白い薔薇の淵まで』と並ぶ著者最高傑作が遂に復刊!
著者情報
1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。
内容説明
那智と理緒。ともに不幸な生い立ちを持つ二人の女性は、偶然の出会いから宿命的な恋に落ちる。互いに魂の片割れと信じあうほどの激しい恋は、那智が家庭を持っていたことで、苛烈な試練に晒される…。ジェットコースターのように切迫した刹那の恋と、孤独な魂がたどり着く同性同士の至高の愛を描き切った傑作恋愛小説、待望の復刊!
著者等紹介
中山可穂[ナカヤマカホ]
1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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双海(ふたみ)
14
母に捨てられた那智と、父に捨てられた理緒。ともに不幸な生い立ちをもつ二人の女性が、偶然の出会いから性別や立場を超えた宿命的な恋に落ちてゆく。恋を取るのか、家庭を取るのか。著者特有の硬質な文章に淡い抒情が漂うような…つまり非常に心地よい読後感。2024/06/29
さのまる
4
久しぶりの中山可穂。文章が本当にうまくてスラスラ読めるんだけど、いつも読後はぐったり。それだけ作品と共鳴してるのかな。2024/09/11
バーニング
4
主人公の一人、那智が自分の娘と理緒の両方を譲れないというトレードオフのジレンマの中で最後どうやって落とすんだろうかと思ったが美しい結末に終わっていてよかったと思う。設定を考えても強引ではなくてありえそうなオチだったし、あえて出生の秘密を引っ張らないのも(ミステリー小説ではないので)良かった。携帯電話以前の恋愛は、一度別れると再会するのもハードルが高いが、だからこそまた会えた時の喜びは格別だったのだろうなと、美しい結末を読んで感じた。ベッドシーン、特にヒロイン二人の初夜の描写もとても美しかった。2023/06/12
moimoi
3
産み落とされた直後母に捨てられた那智と、両親からまともに育てられなかった理緒。2人の女性には運命的な共通点がいくつかあり、互いに強く惹かれ合う。しかし出会った時点で那智にはすでに家族がいる。傍から見れば泥沼の不倫、しかも同性の不倫相手と結構スキャンダラスで、書きようによってはいくらでも下品で俗っぽくできると思うが、さすが中山可穂さんの文は流麗でドラマティックだ。前世からの伴侶や魂の片割れなど幻想的なモチーフが作品を貫く一方で親権争い、義理の両親との不和など現実的な事柄も絡んで上手くバランスが取れている。2024/12/21
nyppp
2
運命がこの身を離さないでいてくれるなら、どんな道中でも歩いていける それがあなただったらと願うことは美しい姿だと思う2023/07/19