出版社内容情報
戦時下、芸人ピップは自由と平等を求め、人並み外れた放屁の力を今日も放つ。ドラゴンも放つ。三馬鹿も放つ。奇才が放つ奇想の物語。
内容説明
戦時下のパリ、放屁芸人のピップは自由を求めて、人並み外れた放屁の能力を放つ…愛と感動の成長物語の表題作から、第一次大戦後のドラゴン奇譚、月世界旅行版『ボートの三人男』、絶海の孤島を舞台とした災害小説まで、全四章から織りなされた、現実と虚構が溶けあう魔術的作品集。
著者等紹介
浅暮三文[アサグレミツフミ]
1959年、兵庫県生まれ。関西大学卒業後、広告代理店勤務を経て、98年、『ダブ(エ)ストン街道』で第8回メフィスト賞を受賞しデビュー。2003年、『石の中の蜘蛛』で第56回日本推理作家協会賞長編部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かながわ
6
屁短編集を軽やかに。初めて知ったペトマーヌ、放屁は自由と平等の象徴という言葉にハタとする。生理現象は確かに万人のものであり人工的な平等と一線を画す。2022/08/23
warimachi
3
楽しい法螺話だ。この作者、まだこういうものを書いててくれてるんだなあ。2022/06/17
dani
2
図書館の新刊コーナーにこんなタイトルの河出文庫の短篇集があったら手に取らざるを得ない。放屁に関する短篇は表題作だけかと思いきや、他の3篇も放屁あり、かつ、緩やかに繋がりがある『おならをめぐる連作短編集(解説の言葉)』で、なかなか愉しい作品だった。初読み作家だったが好みかも。2022/07/26
立ち待ち月
2
なんというか、ちょっとデビュー作の『ダブ(エ)ストン街道』を思い出すような、ひょうひょうとした口調で真面目に語られるホラ話を集めた短編集。 今、ライトミステリの方が売りやすいから仕方ないんだろうけど、ここ最近の浅暮さんの作品の中では一番好きなタイプです。違うんだけど、落語の人情噺のような、情念に動かされすぎない適度に客観的な感じが心地よいけど、感情移入ができないと思う人も居そう。 でも、作者の初期のホラ話が好きな人ならぜひ。2022/07/05