出版社内容情報
うーちゃん、19歳。母(かか)も自分も、もう抱えきれん。文藝賞、三島賞W受賞。『推し、燃ゆ』の作家のデビュー作。解説:町田康
内容説明
19歳の浪人生うーちゃんの深い悩みの種は、大好きな母親=かかだ。かかは孤独を苦に心を病み、酒を飲んでは荒れてしまう。かかを救いたいうーちゃんは、ある無謀な祈りを胸に熊野へと旅立ち―。21歳、新たな文学を立ち上げる驚異の才能の誕生。第56回文藝賞&第33回三島由紀夫賞受賞のデビュー作。書き下ろし短篇併録。
著者等紹介
宇佐見りん[ウサミリン]
1999年生まれ、神奈川県出身。2019年、『かか』で第56回文藝賞を受賞しデビュー。同作は第33回三島由紀夫賞を受賞した。21年、第二作『推し、燃ゆ』で、第164回芥川龍之介賞を受賞。50万部を超えるベストセラーとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
253
『かかを、産んでやりたい、産んでイチから育ててやりたい』という、うーちゃんの心からの思いに胸が締め付けられるこの作品。方言と『かか語』に覆われた文章が気になる感覚が、いつしか『赤』い血を感じる生々しい感覚に上書きされていくのを感じるこの作品。作品冒頭の『金魚』を描く表現に度肝を抜かれる中に、読み進めれば読み進めるほどに鬼気迫りくるこのような作品を10代にして書かれた宇佐見りんさん。刃に触れただけで血飛沫が飛びそうな感性の鋭さを感じる物語に、ただただ圧倒されるのを感じたインパクト最大級の作品だと思いました。2022/05/16
Apple
128
語り手の痛みを共有させられるような肉迫してくるような小説でした。主人公はかか(母親)に対して、愛情、憎しみ、罪悪感を向けていて、それによる痛みからの救済を求めるような内容の話みたいでした。主人公は19歳の女性であったみたいですが、まだ大人になりきれない、幼さのようなのが顕著に感じられました。現代の小説らしくSNSが主人公の窮迫した状況を描くのに役割を演じていると感じました。宇佐美りんさんの作品は初めて読みましたが、とてもパワーのある作家さんだと思いました。「三十一日」という短編は、読みやすくよかったです。2022/11/10
ベイマックス
113
普段漢字で読み慣れている文字がひらがなで句読点なくつらなっていると読みづらい。そして、訛りも読みづらい。2022/05/19
Ikutan
102
『推し、燃ゆ』の宇佐見さんのデビュー作品。出だしから強烈なインパクトでいきなり「おまい」に話しかける独特な文体に戸惑ったが、19歳の浪人生うーちゃんが「おまい」こと弟のみっくんに、家族のこと、特に心を病んだ大好きな母親、かかのことを伝えているのだと分かってからは、この言葉が真っ直ぐに入ってくるようになった。片寄った愛情を注ぐ祖母。離婚した身勝手な父親。理不尽な家族への怒り。女性に生まれ、心を壊した母親を突き放せない自分への複雑な思い。SNSに救いを求めるところに若さを感じた。こちらも豊かな感性がキラリ。 2022/08/02
シナモン
101
独特の語り口(かか弁?)、おまいって誰?… 読みにくくて世界に入り込むのに苦労した。 「うーちゃんとかかとの境目は非常にあいまいで、常に肌を共有しているようなもんでした」 近すぎる母と娘。好き過ぎて憎くなる。 ドロドロとした複雑な感情が胸に迫る。 すごいパワーを感じる一冊だった。 2025/05/14
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