出版社内容情報
排外主義が国を支配し、韓国人街でのヘイトクライムが激化する日本で、7人の若者が立ち上がる。怒りと悲しみの青春群像。
内容説明
日本初の“嫌韓”女性総理が誕生し、韓国人街でのヘイトクライムが激化していく近未来の日本で、一人の若者が立ち上がる。彼と六人の仲間たちが画策する、禁断の「反攻」計画とは?ページをめくる手が思わず震える、怒りと悲しみの青春群像。第42回野間文芸新人賞受賞作。
著者等紹介
李龍徳[イヨンドク]
1976年埼玉県生まれ。在日韓国人三世。2014年『死にたくなったら電話して』で第51回文藝賞を受賞しデビュー。2020年『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』で第42回野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shun
35
排外主義が世論を占め嫌韓化が進んだ近未来の日本で、それを後押しするような内閣が発足し合法的に在日排斥が進行するディストピア社会を描く。国籍は違うが日本で生まれ日本語を話すのに差別されてしまう人々がいる。小説で構築された世界は写実的で、もしかしたらこれは現代日本の延長にある世界かもと想像すると恐ろしい。この歪みは双方の国の歴史とレイシズムが関係しているのだろう、本作で描かれるこの複雑な関係性の中で彼らのアイデンティティの描き方に注目するものがあります。社会派小説であり、物語は群像劇のような人間味のある内容。2022/03/16
Masakazu Fujino
7
とてもディストピア小説とは言えなくなっている現在の状況を考えると恐ろしくなってしまう。2022/06/16
Kaoru
6
集団暴力性を生々しく描き出し、予想できない結末へと持っていく筆力が凄い。少々大袈裟だとしても、近未来の設定としては1番現実的なんだろうなと思う。登場人物それぞれを濃く描いているわけではないので、感情移入などは出来なかったが、それでもさらっと読めるものではなかった。2022/11/19
アルパカメタル
4
ディストピア小説、と片づけられたらどれだけ楽か。この本が描いているのは切実な怒りだと私は思う。筆者が在日というテーマに直球に挑んでいる。どうやったって差別やヘイトは無くならないし、この本が描く世界に近づいていく今のわたしたちの世界。2022/08/21
駒
4
インパクトのある恐ろしいタイトル。でも読んで感じたのは切実な願いだった。私は反日でも反韓でもないけど、無知な日和見と言われても仕方ないのかもしれないけど、ちゃんと見ること、声を聞くことの大切さを感じた。彼らの手段は悲しかった。綺麗事では解決出来ない問題。誰の心も体も死なせないために、百年後少しでも変わっているために、個人が出来ることはなんだろう。2022/03/25