出版社内容情報
現代日本SF最高峰作家のデビュー作をはじめ、貴重な初期短編6作。文庫オリジナルのボーナストラックとして超短編を収録。
内容説明
日本SF大賞史上初となる二度の大賞受賞に輝いた、現代日本SF最高峰、飛浩隆。五感に響く夢幻を奏でる作品群の出発点、デビュー作の「ポリフォニック・イリュージョン」をはじめ、長年にわたって封印されてきた初期短編、全六編を収録。文庫版ボーナストラックとして単行本未収録の超短編五編を収める。
著者等紹介
飛浩隆[トビヒロタカ]
1960年、島根県生まれ。島根大学卒。81年、「ポリフォニック・イリュージョン」で第1回三省堂SFストーリーコンテストに入選、「SFマガジン」に掲載されてデビュー。92年までに同誌に10編の短編を発表。その後10年の沈黙を経て、2002年に長編『グラン・ヴァカンス―廃園の天使1』を発表。05年、『象られた力』で第26回日本SF大賞、07年、『ラギッド・ガール―廃園の天使2』で第6回Sense of Gender賞、18年、『自生の夢』で第38回日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
17
「SFマガジン」初出ながら半ば封印され、長らく書籍化されて来なかった初期作品を纏めた短篇集。著者の作品は他に『零號琴』のみが既読だが、重層的で円熟し尽くした最新作と読み比べると、確かに如何にも「初期作品」という趣きの短篇が並んだ印象。「懐かしき」「古き良き」という枕詞が付く領域に入った作品も散見されつつ、むしろまだ充分に洗練されていない筆致だからこそ、現在にまで通ずる著者の興味関心や問題意識、その描かれ方の変遷が垣間見えたように感じる。収録全作興味深く読んだが、中でも「夢見る檻」「星窓」の二篇が特に好み。2022/07/23
ふりや
15
飛さんの初期作品に文庫版ボーナストラックを加えた一冊。このところ飛作品の文庫化が続いて読む機会が増えるのが嬉しい限りです。現在の飛さんの作品と比べてみると、重厚さよりも柔らかくて瑞々しい文章が多いのが特徴のような気がします。後半のボーナストラックと読み比べてみると面白いです。いずれにしろデビュー当時から作品のクオリティがとても高かったのが分かります。元々の単行本に収録されていた批評集はまた別の作品としてリリースされるとのこと。装幀はテッド・チャンの『息吹』なども手掛けている水戸部功さん。カッコいい!2021/10/06
ハルト
11
読了:◎ デビュー作と初期短編六編に、単行本未収録掌編の五編と、自著解説が集められている。現在に繋がる著者のきらめきが光る作品ばかりで、楽しく読んだ。今の作品と比べると、奇才としての輝きは変わらぬものの、重厚さより爽やかさがより強く感じられた。2021/12/10
沙智
9
言葉の煌めきと卓越したアイデア。現実を揺るがすような作品達。荒涼とした世界が舞台で、ホログラムの桜が登場する『地球の裔』が特に好みだった。崩壊する桜の描写が幻想的で美しい。本書の短編は五感を刺激するような文章がとても多かった。解題で、視覚面での革新を文芸作品の文章はどこまで追えるかと述べられていたが、小説は視覚に訴える表現がまだまだ出来ると私は考えている。2022/03/24
Porco
8
単行本未収録。新規作品。いい響きだ。 実質的な著者の初めての作品とのことである、『ポリフォニック・イリュージョン』は、解説で小説風と揶揄していたが、これが小説でなかったら何なんだというくらいに引き込まれました。2021/12/04
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