出版社内容情報
地元から出ないアラサー、女子が怖い高校生、仕事が出来ない先輩……“男らしさ”に馴染めない男たちを描く、おかしくも切ない物語。
内容説明
地元仲間とのしがらみにがんじがらめになっているアラサー男。つき合った彼女の積極性が怖い男子高校生。仕事ができないことをひた隠しにしているサラリーマン。結婚間近の恋人が出ていった理由が永遠にわからない元彼。役者になる夢を諦めて就職した男―。“男らしさ”に馴染めない、情けなくも愛すべき男たち。孤独や哀しさにそっと明りを灯す、おかしくも切ない物語集。
著者等紹介
山内マリコ[ヤマウチマリコ]
1980年、富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。2008年「16歳はセックスの齢」で第7回女による女のためのR‐18文学賞で読者賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
112
就職してからの迷いの大半は現実逃避の言い訳もあると思う。多分自分はあまり考えないままズルズルサラリーマンをやってきたのだと思う。彼は本当は役者になりたいが、サラリーマンになってしまった。まるで俳優のような絵になる先輩が宴会の途中で逃げていいからと言ってくれたあの時。役者として成功してあの時を振り返っている。むしろこの先輩の方が役者として一枚上。こんなところで営業しているより舞台に上がった方が成功するようなオーラがある。ここにいてはもったいない人。そんな人、世の中には他にもたくさんいるだろうなとも思う。2021/12/09
エドワード
74
女性の生き辛さを描く小説は多い。男性の生き辛さをよくもビビッドに描いてくださったネ、山内さん。そうなんだよ。多様性の時代なんて建前だけ、男は働いてナンボという価値観はびくともしない。どんなに苦手でも、どんなに煙たがれても、仕事をしなきゃならんのよ。新入社員よ、仕事の次は家庭だよ。家庭を持ったら子供だよ。次は家を建てようよ。これが正しい男のクラブ。入りたくない?じゃあ、今すぐ逃げなさい!と言って逃がしてくれた館林先輩には感謝だ。仕事が全く出来ない角岡君に「仕事をしているふり」を教えた千田さんもエライね。2021/12/22
チョコ
71
色々な短編。それも本当に短いのもあれば、まあまあ長いのも。女の子に振り回される男子や、お父さんの淡々と一生を語るものやら、今までにない感じ。面白くて一気に読んでしまいました。2023/02/26
優希
53
男子カルチャーを見ているようでした。「男らしさ」で馴染めない哀しさに灯りを少し注いだような印象です。2023/06/11
venturingbeyond
49
さらりと読了。帯に「"男らしさ"に馴染めない ー 」とある通り、ホモ・ソーシャリティの下では違和感なく受け止められるティピカルな「男」の物語を、違う視座から描き直すと...、という短編集。中でも『あるカップルの別れの理由』、『ぼくは仕事ができない』の二篇が特に秀逸。『さよなら国立競技場』も面白かったのだが、32頁の「~ベスト四まで進んだのだ。準々決勝では帝京高校に負けたけど、...」との一節に、少々げんなり。単純な誤りなので、校正が機能してないところに、昨今の出版事情か透けて見えるようで、残念でした。2021/12/22