出版社内容情報
ナンバー1キャバ嬢・初美の膨大な知識と強烈なペシミズムに魅かれた浪人生の徳山は、外部との関係を絶ってゆく。圧倒的デビュー作。
内容説明
「死にたくなったら電話して下さい。いつでも」。空っぽな日々を送る浪人生の徳山が、バイトの同僚に連れられて訪れた十三のキャバクラで出会った、ナンバーワンキャバ嬢の初美。世界の残酷さを語る彼女の異様な魅力の虜になってゆく徳山は、やがて外界との関係を切断していき―。人間の無意識に潜む破滅への欲望をあぶり出す。第五一回文藝賞受賞作。
著者等紹介
李龍徳[イヨンドク]
1976年、埼玉県生まれ。在日韓国人三世。早稲田大学第一文学部卒業。2014年『死にたくなったら電話して』で第51回文藝賞を受賞しデビュー。2020年『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』で第42回野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ざるこ
57
イケメンだけどぱっとしない浪人生の徳山を初対面から気に入る初美。グイグイ一気に読まされるのは初美の人間性が掴めないから。言葉では愛情のようでも目的は他にあるよう。何かと自信の持てない徳山を持ち上げ優越感に浸らせ、本棚に並ぶ残虐な戦争や拷問の作品を語りながらのセックス。いつの間にか言葉も思考も変わっていく徳山が恐ろしかった。結局、初美に愛情なんてなく破滅に向かう同士が欲しかったんじゃなかろうか。徳山がそう流される人間だと見抜いていたのか。心が弱ってる人が読んだら引きずり込まれるんじゃないかと心配になる作品。2022/03/04
olive
47
満ちたりた幸せを願い「理想」を求めるも、「現実」は不安や焦燥、挫折...を抱えつつ悩みながらも折り合いをつけて生活している。でも、どうしても執着するものが捨てきれなかった時に人は救いを求め自分なりの教祖を見つけてしまうのだろうか?初美の語る言葉は、「現実」を生きるために蓋をしたもの。だから初美の言葉が過激なのに頷けるもの。それでも生きていくためには、馬鹿げた生き方しかできぬと思っても明日を信じて前向きに生きようとする。だが、沼にハマってしまったら....破滅へと。共感はできぬが魅せられる作品でした。2021/12/12
Junichi Yamaguchi
39
『そこに人間の悪意をすべて陳列したいんです』… いやぁ、引き込まれた。 ただ、共感はしなかった。 文学とは何なのか? 少しだけ考えてみたが、少し頭が痛くなった瞬間に思考を停止してみた。 「面白い」や「楽しい」という言葉は出ないが、読んで良かったと思える自分の感情を不思議に思う。。2021/10/08
ちっか(*´꒳`*)♪🍎
35
狂気じみた女性のペースに、すっかりハマっていく男性のお話。どうなってしまうのか、先が気になってたまらず、最後は呆然としました。恐ろしくもあり、ある意味すごい女性でした…。そして男性は可哀想すぎました。2023/02/14
D
34
この前に、人間は性善説である、という本を読んでからこれを読んだ。もう何が正解なのかよくわからなくなった。徳山と初美はあそこで出会わなくともどこかで必ず出会っていたと思うし、やはり同じ結末を迎えるんだなと思う。 ルックスだとか年齢だとか、そういった表面的な所をグサグサと刺し、破滅的衝動みたいなものを掘り下げて行ったこのような作品は、後にも先にも中々生まれないんじゃないかなと思う。是非皆さんも読んでほしい。2021/09/10