出版社内容情報
小国ナスミ、享年43。亡くなった瞬間から、その言葉と存在が湖の波紋のように家族や友人たちへ広がる様を描いた感動と祝福の物語。
内容説明
富士山の間近でマーケットストア「富士ファミリー」を営む、小国家三姉妹の次女・ナスミ。一度は家出をし東京へ、のちに結婚し帰ってきた彼女は、病気のため43歳で息をひきとるが、その言葉と存在は、家族や友人、そして彼女を知らない次世代の子どもたちにまで広がっていく。宿り、去って、やがてまたやって来る、命のまばゆいきらめきを描いた感動と祝福の物語。
著者等紹介
木皿泉[キザライズミ]
1952年生まれの和泉務と、57年生まれの妻鹿年季子による夫婦脚本家。03年、初の連続ドラマ「すいか」で向田邦子賞受賞、同作でギャラクシー賞受賞。また、初めて手がけた小説『昨夜のカレー、明日のパン』は2014年本屋大賞第2位、山本周五郎賞にもノミネートされ、のちに自身の脚本で連続ドラマ化もされた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさきち
156
癌で亡くなったナスミ。そんな彼女の生前死後を問わず大事なものを与えてもらった人々の話を揃えた短編集。そのどれもがやわらかくてあたたかく、そして涙と元気を与えてくれるものでした。前向きで、いつも明るく笑っている彼女にぜひ会ってみたいと思いながらの読了です。2023/03/09
ALATA
142
ほんとうに悲しい時は涙すら出ない。癌を患い混乱の中みんなを思うナスミ思いが切ない。そして、はるか遠くに逝ったナスミを思う家族の悲しみもじんわりと沁みてくる。私も母を亡くしたときは何も考えることができず心にぽっかり穴が開いたような感覚でした。改めて思い出すと少し時がたち一人になった時にいろんな思いがこみ上げて声を出して泣いたように思う。「キザのキだね」ふと頭に浮ぶナスミの言葉はみんなの中で活きているんだな★4※失くした命が新たに体の奥底で希望の光になる。もしそうならば人生まんざらでもない。2024/09/03
hitomi.s
115
私の居るのは此処だけれど、居ない場所でも存在しているんだ。それはさ、スゴいことで、強いことで、あったかいことだ。可笑しいの。去年とかはさ、物理的にも社会的にも連絡して都合聞いて約束して、顔見せて会うことなんてすぐだったのに、しなかった。物理的にか社会的にか会うことが躊躇われる今に、「いつでも会えるよ」がどれだけ優しかったのか。生きててさ、話が出来るというのにさ、どうして何を私は伝えたいのかさえ分からないわ。とにかく自分を生きていて。泣きながら友人を思った本。みんなに読んで欲しい本。2020/11/22
mayu
96
43歳で亡くなったナスミ。姉妹、夫、友人などが彼女との思い出を振り返る。若くして亡くなっても、生前の彼女の言葉や行動が、今を生きる誰かの支えになって、また次の世代にも受け継がれていく。自由奔放に生きたように見えるけれど、相手が本当に必要としている時に気づける優しさを持っていたから、こんなにも人の心に残るんだろうな。「誰かが、私にもどりたいって思ってくれるような、そんな人になりたいの」大切な誰かの拠り所になれるように。私もそんな生き方ができたらいいなと思う。あたたかい気持ちになれる本だった。2021/03/21
ゴルフ72
93
ナスミさん43歳で…彼女の家族そしてかかわった人たちに彼女がどれほどの存在だったのか?人亡くなるとひと時悲しみにくれる。しかし、それ(悲しみ)を忘れることができるが一方思い出を振り返ることができる。ナズミさんの存在は次の世代の子供にも繋がる。私もそんな人生を送ってみたい。2021/01/01