出版社内容情報
落語会の仕掛け人としても「昭和の大名人」と付き合った著者による名著。強烈な自我がもたらす圧倒的な魅力。
矢野 誠一[ヤノ セイイチ]
著・文・その他
内容説明
臨機応変、独特の間、フラ、現代性などで一世を風靡し、今なお落語の第一人者の名声を不動のものにしている昭和の大名人の、魅力の依ってきたるところを、その生前、「精選落語会」の企画者としても交際の深かった著者が、達意の文章で的確に表現した名著。業と自我を、最高の藝にまで昇華させた落語の神様の軌跡を追う決定版評伝。
目次
1 一九七三年秋彼岸
2 さむらいの自我
3 ひとりの師
4 藝と商売
5 曙光がさす
6 父と子
7 冬の夜に
8 好敵手
9 再び一九七三年秋彼岸
補遺 志ん生残影
著者等紹介
矢野誠一[ヤノセイイチ]
1935年、東京生まれ。演劇・演藝評論家。文化学院卒。新劇の裏方、「精選落語会」のプロデュースなどを経て、執筆活動に入る。96年に『戸板康二の歳月』で第10回大衆文学研究賞、2006年に第14回スポニチ文化芸術大賞優秀賞受賞。菊田一夫演劇賞選考委員、読売演劇大賞選考委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まあさん
3
既読の「なめくじ艦隊」然り、今回の「志ん生のいる風景」然り、読むごとに「大河ドラマはシッカリ作ってるんだなぁ」と感心しきりであります。本作を読み進めるごと「ああ、あのシーンはこの逸話が下敷きになっているのか」などなど、楽しみが二倍増えた感じでした。名人の呼び声高い橘家円喬師の記述が多かったのもよかった…。ドラマには少ししか出てきませんが、本作では長男・金原亭馬生師や次男・古今亭志ん朝師との関わりも触れられており、非常に興味深くありました。読むにつれ「寄席に行きたいなあ」と思わずにはいられません❕2019/11/17
へいがぁ
2
昭和の次の時代ももうすぐ変わる今、改めて志ん生の凄みの一端に触れることができました。これから小学館文庫版の『志ん生一代』を読もうと思います。2019/04/08
辻本 敏久
2
池波志乃さんのおじいちゃん。2019/04/03
ラム
0
著者は漱石「三四郎」を引用し、どんな名人もその芸人と時を同じうして生きないと出会えない 大変な仕合せと言う 自身が接した志ん生と二人の子馬生と志ん朝を対比しながら描く志ん生 十歳以上離れ性格も正反対の二人、志ん生の強大さにおののいていた馬生、天真爛漫な志ん朝 志ん生は橘家圓喬に心酔 師の圓朝をも凌ぐといわれた名人 志ん生に「どうやったって、できない」と言わしめた一方、志ん生にも通ずる偏狭、協調性に欠ける面も 改名を繰り返した破滅型の芸人が最後に真正に通じる志ん生を襲名 結城昌治「志ん生一代」を頻繁に引用2021/09/29
kaz
0
極めて強烈な自己主張をしてのけ、好き勝手な道楽三昧にふけり、およそ反道徳きわまる生き方をしてきた落語家としての志ん生の描写は、グッと迫るものがある。図書館の内容紹介は『業と自我を最高の藝にまで昇華させた落語の神様、五代目・古今亭志ん生。生前、「精選落語会」の企画者としても交際の深かった著者が、昭和の大名人の魅力の依ってきたるところを、達意の文章で的確に綴る』。 2021/10/20